おねショタ(概念)みたいな柱になった私の話 | ナノ


▼ おまけ的な…?

その景色はまるで絵に描いたように美しかった、
色鮮やかな恋が提灯の光に揺れ、水辺に浮かべば泳ぐように消えてゆく。夜だというのに明るく、藤の花の牢獄が広がるその場所に無惨は立っていた。

ゆるく風が吹き、誰かが歩くような音がする、そちらに目を向ければ、いつの日か、上弦の目を通してみた女が立っていた。女学生のような服に身を包み、白百合の花が描かれた羽織を羽織るその人間は、珍しい黄金色の髪に。翡翠の目をしていた。

そっと桜色の唇が開き、どこか蠱惑的な声が鼓膜を揺らす




「お待ちしておりました、鬼舞辻無惨」




待っていたというわりに、その瞳は爛々とした殺意と嫌悪に輝いて、間違っても歓迎しているような雰囲気ではなかった。


女が己に背を向ける




「御館様の下へ、案内しましょう」
「ほう?己の首領を差し出すと」
「勘違いしないでいただきたい。すべては御館様のご意向のままに」




挑発したつもりだった。けれど女は挑発に乗るほど安くはなかったらしい。目を細め、歩いていく背を追う。鳴女の目を使ってしてもこの館までしかたどり着けなかった。それどころか鳴女の放った刺客は行方をくらませていた。

館の中に入っていく女についていき、歩く。女に手を伸ばし、その細い体躯を掴んだと思えば、鏡が割れるような音がする



己の手が血に染まった。




「言い忘れていましたが、この館は万華鏡館。貴方が手に触れたものが本当にそれだとは限らない。周りを移す数多の鏡には藤の花の蜜が塗りたくられています。一重に鬼の侵入を防ぐためだけに…。この館にも目玉のような刺客が来ましたよ。すべて、鏡に触れて散ってゆきましたが」




言外に、おとなしくついて来いと忠告される。確かに傷の治りが遅かった。藤の蜜のせいで臭いで追うことすらできない。万華鏡館とはよく言ったものだろう。





藤野はただ無表情に歩きながら道行く先の鏡から無惨の様子を伺い、歩く。そして過去に思いを馳せた。あの柱会議の後、柱稽古と痣の話の最中に何度も御館様の警護の話が出た




『最低でも御館様に一人や二人、柱は付けておくべきだろう』




けれど御館様はかたくなに首を縦には降らず、ただ柱稽古に集中するようにといっていたと私と行冥さんで説明した。そんな私たちにしのぶが笑いながら言ったと思う




『大丈夫ですよ皆さん。御館様の住むこの屋敷に行くためには藤野さんの館を抜けなければいけませんから』




そう、この屋敷にたどり着くには私の屋敷を介さねばならない。だから、ここに無惨がいるということは、御館様のいる屋敷に行くということは私の屋敷の守りが突破されたという事。…それなのに、私は彼を自ら招き入れた。御館様の命とはいえ、私は彼らを裏切った。

唇を噛み、私と共にこの作戦内容を明かされた行冥はなにを思ったんだろう



柱の中で、私と彼だけが御館様の真意を伝えられてる。私もきっと、この館の主でなければ伏せられていた作戦だろう。


床に臥せる御館様の命を掛けた作戦。けれど私はそれを認めたくはなかった。反対もした、けれど行冥も、御館様も、奥方様もご息女方も、覚悟を決めていた。なら、私もきっと覚悟を決めなければいけないのだろう。


鏡に囲まれた道が開く。そして広がるのは御息女たちが鞠で遊ぶ姿。




「……」




驚くように、どこか不思議な生き物を見るように見る鬼の視線を無視して、私は産屋敷を歩く。障子に手をかけ、「御館様」と声を掛ければ、かすれた声で「頼んだよ」と帰されるのを、ただ黙って頷き、屋敷の奥へと進む。ここから先は御館様の戦場で、私は奥の方へと隠れているご息女とご子息を保護して屋敷の外へと向かい、行冥さんと合流した。そこには見覚えはないが、恐らく御館様の言っていた鬼が不安そうな顔で立っている。




「私は、この方々を安全な場所まで運ぶ。終わり次第そちらに向かうから、後は頼んだ」




そう行冥に告げれば涙を流しながら頷く。それだけで充分だ。けれど…


















「この戦いが終わり、無事に無惨を滅せたのなら、私は、責任を取らないとなぁ」




呟いた言葉を拾い、導くように、諭すように、時にはからかうように笑みをこぼしていた方がもういないことを感じ、私はただ、誰に言うでもなく……こぼした







































主人公



産屋敷を守る館の主。自分自身の手で無惨を案内したことに対して酷く後悔と、けれど御館様からの命令を達成できたことへの安堵でせめぎあってる。すべてが終わったら切腹する覚悟をもって無限城線へと身を投じる人。(※ただし、存在がある意味ギャグであり、未来には子供が6人()いるので多分生きてる人)






行冥(岩柱)


主人公に重荷を背負わせてしまったことを悔いる。けれどそれが柱としての務めだとも思っている


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