おねショタ(概念)みたいな柱になった私の話 | ナノ


▼ 4(おまけ的な)

※ちょっとした番外編(※IF)




その血鬼術は過去にもいくつか報告されていた。なんというか無害な血鬼術なのだ。原因となった鬼の頸を飛ばせば数日とせずして戻る血鬼術。

―――事の発端は数刻前。鏡柱である藤野がいつものごとく毛色の変わった隊服を揺らしながら帰ってきたとき、ちょうど柱会議がある日だったため、柱が全員集まっていた中で、突然煙に包まれた。敵襲かと構える柱たちの前で徐々に煙は晴れてゆき、そこにはいろいろと変わった鏡柱の姿。当の本人も不思議そうに首を傾げて、どこか呆然と「御館様…??」と呟き、はっとしたように崩れ落ちた。そして。柱たちにも館側にも衝撃が走る。




「今日かっ!!!」




崩れ落ちた身体を支える左手の薬指には銀の指輪が輝いていたことも要因の一つだったのかもしれない。











「つまり、藤野さんは20年後の藤野さんということですね」
「まあね、懐かしいなあ、しのぶだ」
「?」




ニコニコと笑う目の前の女性に柱たちは口を閉じた。そして一斉に思うことは一つだけ



――――老けてない。



20年後から来たと言ってる割にはその肌も顔も身体つき(少しまたたわわになってる)も余りにも若い。そして何より…




「………、鏡…、お前、その指の」
「あ、…その、えっと、結婚しまして、子供もすでに6人…」
「その身体つきで6人産んでるってやばくねぇか。」
「いや、6人目はまだ…」
「まさか妊婦ですかアナタ!?」




絶叫した。しのぶが絶叫した。女友達(+20)年後が来たかと思えば妊娠していたのである。相手は誰だと肩を掴んで問いかければふわふわと笑いながらはぐらかされる。
聞いた兄弟子である伊黒は膝を崩し瞳孔を開きながら呪詛を振りまく。可愛い妹弟子が結婚したことはたいへん喜ば……、いや、誰だ俺の妹弟子を穢した糞野郎は…。現在の妹弟子に言い寄る悪い虫には数匹心当たりがあった。




「……それで、20年後のあなたはもう良い年のはずです。そんな無体を働いて、六人目を孕ませたのはどこの輩ですか」
「ち、違うのしのぶ。あの人とも暫くは外にと言っていたのだけれど、いつの間にか…」
「それ絶対に約束守ってないでしょう!?碌な男じゃないですよ!!」
「わかる。散々人を幼児趣味と宣ったからな」
「貴方が幼児趣味なのは事実なのでなんとも言えませんが」




今度は座っていたはずの藤野が顔を覆った。本当に姿形が変わらなすぎだろう。どう見積もっても30代にしか見えず、普通に見れば20代前半だ。何が起こってこんな容姿になってるのだろうか目の前の同僚は。

この中で甘露寺だけがきゃぁきゃぁと言いながら彼女の周りをくるくる回っていた。




「まあ、良いです。それで?未来のあなたはなぜここに?」
「血鬼術。ちなみにこの時代の私が今朝がた倒した奴です」




頭を痛めたようにして座り込む胡蝶に乾いたように笑う藤野は数刻後に帰っていった。

―――そして










「未来の私、結婚してたんだけど、子供、いたんだけど…」
「相手はわかるか…?」
「なんで伊黒はすでに抜刀しそうなの。いや、相手を訪ねようとしたらあっちの伊黒が私を抱きかかえて帰るまで逃走してた」




お団子がおいしかったの。

餌付けをされたらしい妹弟子が腕いっぱいに抱えたみたらし団子を受け取りながら早めに虫の抹殺をしようと伊黒は決意した。





おねショタコソコソ話

主人公は外見の成長が早かった分歳をとっても老化が人より遅いよ。旦那さんはどんな年になっても元気なんだって。すごいね。まだ20年後でも30代なので頑張れば子供が産めちゃうよ。





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