「俺、確かに鬼だけどお前らの追ってる鬼じゃないと思う」 | ナノ


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「え、つまり、…炭治郎、鬼殺隊に入るの…?」




その瞬間の俺の顔は見ものだったと後に錆兎に語られることになる。いや、だって、あの、鬼殺隊だよ??俺を長年恐怖やらに陥れた鬼殺隊だよ??え、つまり…




「炭の子も俺に刃をむけると…??」




俺、死ぬしかないのでは???いや、だって人の子との約束すら守れなかったダメな鬼神である、コレは償うしかないのでは?そうだよね、炭治郎からしたら職務怠慢もいい所だよね。昔かけていた加護の効力が切れていたとか気付かなかった俺だ、恨まれて当然かもしれない。そっと横にあった手軽い刀を手に取って首に持っていけば、飛びつくように刀を錆兎に奪われ、天狗がソレを受け取り、炭治郎が俺に抱き着く。




「酒呑様何してるんですか!!俺、別にあなたを討つために鬼殺隊に入るわけじゃなくてですね!?っていうかアナタ死ねないでしょ!!」
「そうだった…」
「死ぬなら俺に殺させろ。痛めつけてから送ってやる」
「サイコパスは黙って。」




マジで黙ってください〜〜〜。俺は自決か炭の子の手にかかって死ぬんだよ、今決めた。俺が死ぬときはその時だ、それにあの刀じゃ俺は殺せない。切り刻まれた所で俺は死なない、再生不可能なら天界から一旦回収された後にまた同じ肉体与えられて地上に降りてくる。ちなみに天界に帰る手段はない。まあ、そんな事実を教えれば死なないように痛めつけられる未来しか見えないので口を閉じます、おれいたいのきらい。
でも、俺を討つ以外に鬼殺隊に入る理由なんてあるのだろうか、こてんと首を傾げていまだに抱き着く炭の子の頭を撫でながら考えて、奥に眠る禰豆子を見る。そしてひらめいた。なるほど、妹のためか、マジでごめんね??俺の職務怠慢のせいでごめんね?ちなみに炭の子の一家はただいま魂の消耗により俺の腰に掛けてある瓢箪の中で眠っている。あの鬼舞辻無惨によって殺された魂はことごとく消耗が激しいのだ、それにどうやら、あの鬼の血、適正者と不適正者に分かれるらしく、この子たちの母親も兄弟たちも死ぬ間際に血を混じられていた。…あの鬼が何を思って炭の一家を襲い、鬼にしようとしたのかわからない。結果的に致命傷と鬼の血のせいであの家族は死んだ、唯一適合した禰豆子だけが鬼として生き残った。………そのせいで守り神であった俺の神気で包んだ瓢箪の中にて療養中なわけ。ごめんね、来世は幸せに暮らせるように縁を結んでおくよ。君らは家族全員でまた転生する。一見は小さくキーホルダーのような瓢箪をひと撫でし、炭治郎を降ろしながら禰豆子に近づいた。




「ああ、そうだ炭治郎」
「?」
「鬼殺隊に入る試験、お前に伝えとくことがある」




眠っている禰豆子の頭を撫でながら俺は彼女の深層心理に潜り込むため、目を閉じる。後ろで錆兎と炭治郎の会話が聞こえるけれど、あまり気にしない。…っていうか、禰豆子…、禰豆子さぁん?貴方めちゃくちゃ深いところまで落ちてるな。でも、あと数か月もすれば目覚めそうだ。その眠りの中にそっと俺という存在を押し込む準備をしながら腰にある複数の瓢箪の内の一つを手に取り、神気を送ることで本来の大きさに戻す。掌に収まるくらいのサイズになってから蓋を開け、その中に入る日本酒を煽った。少し零れて頬をつたうソレを親指で拭ってから舐めとり、まだ話し込む二人といまだに机へと向かい、文をしたためる天狗に声を掛けた。




「わるい、俺は少し禰豆子と寝る。数か月起きないと思うからそっとしておいてくれ。いいか、そっとしとくんだぞ、とくに錆兎、お前に言ってるからな」
「ああ、起きない程度に堪能しておく」
「………。」




どうしよっかなコイツ。まじでどうしようかな。炭治郎に目を向ければよくわかってない。ああ〜〜〜炭の子はそのままでいていいよ〜〜〜。心の中で盛大に旗を振りながらため息をつき、小さくなる。五歳くらいに。空気で三人が驚いたような気配を感じた。けれどこれで手は出せまい。出したら犯罪である。そのまま禰豆子の横に手をつないだ状態で転がった。アッ、違うんです邪な心なんて一つもないんです。ただこの子がなるべく早く起きれるような手助けをするだけなんです。ロリコンじゃないんですぅ〜〜〜〜!でも禰豆子めちゃくちゃ美人なんだよなぁ。炭の家の子だから本当に庇護愛しかないけれど、大事な、生き残った子だ。意識を同化させて俺は禰豆子の深層心理へと入り込む。そこには幸せそうに家族に囲まれた彼女がいた。でもそこには炭治郎が居なくて、禰豆子は兄を探してる。その姿は寝ている姿と

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