「俺、確かに鬼だけどお前らの追ってる鬼じゃないと思う」 | ナノ


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「つまり、お前鬼じゃないのか」
「いや、鬼だよ」




炭治郎が守る様に俺と錆兎の間に入って天狗面が考えるように俯いている。だけど鬼といった瞬間にやっぱり目を輝かせる錆兎はサイコ。違いは殺せるって目じゃなくて好きにできるってところがポイントね




「まあ、俺は鬼っちゃ鬼だけど、始祖の鬼。神から役割を与えられて妖怪たちを指揮する鬼なの。だから日輪刀は効かないし…いや、ごめん、効くわ。でも首を飛ばされても死にはしないし、太陽にあたっても死なない。聞いたことない?酒呑童子」
「あ、知ってます、鬼の首領ですよね」
「うん、そう、それが俺ね」




ほらそうやってすぐ刀抜こうとする〜〜〜〜!!天狗面は自嘲してください〜〜〜。




「とはいっても、俺の主食って昔から酒だから、女も子供も人の肉も食べたことないんだよね。自分と同じなりしてる奴、食べる?普通」
「あ、だから祭壇の御供え物はお酒なんですね!」
「正解。さすが炭の家の子、回転が速いね」




頭を撫でながら褒めれば嬉しそうに顔をふやかす炭の子がかわいい。やっぱり人ってこれくらい素直じゃないとだめだよね、俺、結構思うわ。




「だが、酒呑童子は源頼光によって倒されたはずだ」
「それ監禁されてただけだよ。俺、話し合いしましょうっていうから応じたのに酒に何か混ぜられててさぁ、気づいたら座敷牢だし、足枷付けられてるし、食事は何かしら盛られてるし、自分の力の源の酒はもらえないしでね。まあ、アイツ何を思ったのか俺を着飾ることに家の金使ってたなぁ」
「その顔で誑かしたのか」
「誑かされたであろう筆頭に言われるとなんか腹立つな」




誑かしたつもりは一切なかったんだけどね?俺の顔は人にとって美しく見えるらしいし。まあしょうがないんじゃないかな、神だし。撫でている炭治郎に俺の顔好き?って聞けば笑顔で「好きですよ!」と酷く輝いた瞳で答えてきた。俺も君好きだよ。ずっと変わらないよね、君の一族の家長の顔。それにめちゃくちゃ純粋で輝いた瞳に邪な感情が乗ってない。素敵。




「見て見ろ錆兎、自分の弟弟子の瞳を、お前みたいに濁ってないだろ」
「殺す、殺して縛り付ける」
「そのサイコパスとヤンデレ組み合わせた発想がすでにダメなんだよ自覚して」
「でも錆兎さん、酒呑様のこと好きですよね。初恋って言ってましたし」
「ああ、だから殺す」
「炭治郎、あんな狂った大人になるなよ、俺は嫌だからな」




本当に嫌だからな?いつの間にか天狗面は机に向かって何か書いてるし、そろそろ夜も明けてきた。つまり炭治郎オールである。徹夜させてごめんね?健やかに育ってくれ。本当に、君育ちざかりなんだから。日輪刀で拘束できると学習してる錆兎がいつでも俺を刺せるようにしてるのが怖い。とりあえず炭治郎と禰豆子は目を離したすきに死なないよう加護をかけておこう、慢心してた俺が悪いしな今回。うん。





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