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「その腕はどうした」
「うっそ、口を開いた瞬間にそれを聞くってどうなの」
ギリギリと握りしめられる手首には昨夜、義勇につけられた吸血跡と歯型がしっかりと残っていた。何なら薬指にはがっつりと青く変色した噛み跡。言い逃れができない。でも俺は無実である
「義勇だよ。酒に酔ってこれだ」
「昨日か」
「ああ、ってまてまてまてまてまて!!なんで今、日輪刀を取り出す?」
無言で取り出した日輪刀からチャキっと音がして、太陽の光を受けた紺碧色に輝く刃が顔をのぞかせる。
「この腕を切り落とす」
「痛いものを痛いんだよ辞めろ!!ああああああ!!抜けないっ!!!!」
「まずはその指から」
「話し合おう、錆兎。話し合おう。俺は別に悪いことをしているつもりもしたつもりもないが話し合おう!ちょっ、やだっ…!」
絶対に痛いやつだからやめてくれ本当に!涙を浮かべながらどうにかしてこの拘束を抜け出そうともがく。どうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう!!混乱しすぎてもう何でもいいから痛い思いをしたくなかった。痛い思いをしたくない一心だった。だって俺はすでに遊郭の方で腕は飛ばされてたし、十分に痛い思いはしていたのだから、これ以上血をの流したくなかったともいえる
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