何のために塩対応してると思っているんですか? | ナノ


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なぜだ、なぜだなぜだなぜだ。なんでこいつらいっつも引っ付くの。引っ付いてくるの。やめてよ。あんた等に関わりたくないんだってば

嫌そうに目を細める
私に、いい笑顔で引っ付き虫Bが毎度毎度「ツンデレ乙です」と言いやがる。ふざけるな地だわ。

嫌われている自覚ないのかこいつら。
いや、嫌っちゃいないけど、嫌ってるわけじゃないけどさ…。普通毎度毎度嫌そうに顔をしかめたらだれでも察するでしょ。あ…(察し)ってなるのが普通でしょ!?
なのになんで笑顔で毎回毎回絡みついてくるのかな…!?

部活で汗を拭いてたら引っ付き虫Aは「さすがですね、自分も頑張らなければ」とか…。君はそれ以上頑張って何するつもりなの??対戦相手を泣かせたいのかな??

まあ、総じて中学校高校時代は最悪だったともいえる。小学校?一応一緒だったけどクラブ活動の時は関わらなかったかな


というかなんで私がこんなに苦しく彼らとのかかわりを避けているのか。それにはいくつか理由がある。

主な理由として、私は転生者だ。

ここでピンと来た人もいると思うが、この世界に生まれ落ちた瞬間から私には自我があった。そして生まれ落ちた家は中流階級、つまり普通の家だったわけだ。当初は少々混乱もしたが、前世では自他ともに認める楽天家。布団に入ってハイお休みから朝日が昇ってハイおはようをする頃には「強くてニューゲームだ、うひょウェーーーイ!!」と明らかにやばい人のテンションで開き直った。


人間開き直れば早いのだ。


そして小さいころでしかできないような砂場での遊びも遊具も絵本の読み聞かせをしてもらうことも全力でやった。たのしかった。もう一度この機会があるなら是非とも経験したい。小さい子供の頃はその場にいるだけで友達なのだ。コミュニケーション能力が問われない社会万歳。
…おいおいおいちょっとまて、お前、中身成人だろ?恥じらいはないのかと思う方もいると思う。胸を張って言おう。ないに決まってる。
逆にこの年代であるのがおかしいだ。私は初心に戻る。そして遊ぶのイヤホォオオおオーーーーイ!




そんな幼少期を終え、小学校のクラブでなんか見たことある子供(金髪の焦げた肌色)をみても「不思議な色合いやんなぁ」とかどこぞの親分のごとくポケッとしていた。ちなみに偉くかわいらしい美少女っぷりで何度か誘拐にあってることも聞いて「大変だな」とも思っていた。

そして中学校に入り、部活に入り、一年たった後に衝撃の出会い(私には)

そう、その美少女は美少年で某名探偵アニメの愛国者(過激派)だった。
その時になってようやく私はここが某絵&小説投稿サイトで一世を風靡した世界であることに気づいたのである。

ニュースを見ろ?新聞を読め?図書館は?たくさんの疑問もあると思う。では聞くが小学生が嬉々としてニュースを見るのか?受験生でもない中学生が進んで新聞やニュースを見て受験の面接に備えようと思うか?本?よく読みますよ。ライトノベルを。何人か当てはまるはずだ。そして私はサイト様の小説しか読んでいなかったため原作知識さっぱりで、工藤、優作??の作品なんて題名みても知らなかった。


まあ、そんなこんなで彼に出会った私は前世から数えて14年振りにニュースや新聞を進んで拝借した。現在地も頑張って確認した。とりあえず舞台になる町が近くにないのでガッツポーズをしておいく。

ようやく冷静になった私はとりあえず入ってきた後輩である彼らにとにかく冷たく、塩対応を貫く。六年間くらい。いや五年間くらい?

ただしあることないこと突いたり、キチンとやっているのに叱り飛ばすのは虐めだ。さすがにそれはしてない。ただ接触してきたら冷たく接する。それを徹底した。
同学年や先輩後輩が彼らに嫌がらせしようとするときはさりげなく邪魔に入り、ほかの話題を提供したり止めたり。うん、彼らがどこかで心折れたら原作変わっちゃうからやめてね。の、下心ありだ。打算的?好きに言え。

高校に張ってもそれは徹底。なのに奴らは笑顔で近寄ってくる




高校を卒業するとき、奴らが声をかけてきたときはひやりとした。今までの行いへの報復か!?と身構えるが、彼らは予想に反して感謝を述べるモノだから、笑ってしまう。
うん、奴らの前で笑ったことは失敗だったなと今でも思うよ。

まあ、そんな感じで無事に彼らとの関係は途絶えた、はず、だったのだが…。

就職して数年たったある日、ものの見事に再会することになる。数年の間に爆発物の現場に出くわして近場に居た男を引きずり張り倒したこともあったが割愛させていただく。一つ言えるのは私の睡眠時間を邪魔するんじゃない。



その日は大学のアメリカ旅行時に知り合った、日本人の友人(隈が特徴的な美形)が「今日ちょっと飲み会の約束パス」的なメールを送り付けて来たため、おとなしく帰路についていればサイドミラーに後輩こと引っ付き虫Bが大急ぎで走っていた。名前?しらん。

どこかに急いでいるなら送ってやろうかというちょっと尊大な心で声をかけた。え?危険なのは引っ付き虫Aだけでしょ…?




「なに急いでるんだ、後輩」
「ちょっと個人的な用で!!…って、先輩!!?」
「お久しぶり。個人的な用事ならお前自身暇だな。乗れ、ちょっと付き合え」
「喜んでっ!………って、違う違う。俺、ほんとに今、急いでて…!」
「どうでもいい。乗れ」
「あの…!」
「乗れ」
「ウっス」




取り敢えず友人と行く予定だった居酒屋で飲み合いながら近状報告をした。




「へえ、あのゼロと後輩が警察、いや、なるんだろうなぁとは思ってたよ」
「え、ほんとですか?俺はてっきり鼻で笑われるかと」
「どんだけ性格悪いんだ」
「いやぁ、だって佐川先輩ツンデレじゃないですか」
「お前らに対して塩対応なだけだ。…ポジティブすぎじゃないか後輩。ツンデレって」
「えー。確かに俺達にはすっごく冷たかったけど、陰で陰湿なイタズラ止めたり注意したりするその裏でのデレ方はツンデレだと」
「ツンデレはお前らにデレる時があるからツンデレであって、お前らにデレた姿を見せなかったらツンデレじゃないんだよ」
「知らなかった…!」
「ググれよ」




お酒が入っていたのもあるだろう。割と好きにしゃべっていた気がする。そして、後輩が急に声を潜めて「実は俺、今、怖いところに追いかけられてて…」と、何やら悲しそうなトーンで話し始めるものだから、とりあえず頷いて「じゃあ、私の家来る?」と気軽に誘った。

酔いの勢いって怖いね…

「ほんとですか!!?」と勢いよく顔を上げたそいつの頭を机に抑え込む。注目されてるから座れ。




「彼氏もいないし、いいよ別に。どっちみちそういう黒いところに狙われてるならセキュリティ高い家に住むのがベストでしょ」




その前に自分の口座からお金は下ろしといたほうがいいよ、と軽くジョッキを傾けながら笑えば「逃げる最中に引き下ろせるだけ引き下ろしてます」と真顔で答えられた。その言い分だと闇金借りたわけじゃないなコイツ。




「それにしても、セキュリティ高いところに先輩住んでるんですね。職業なんですか」
「小説家」
「嘘だろ…!!?」
「いい加減にしないとその顎髭引っこ抜くぞ」




いやあ、前世の漫画やら小説やらのネタの美味しいとこどりをしてたらいつの間にか小説家になってたわ。なんか盗作な気がせんでもないが、私は一応自分で考えて文章作ってるし、設定も美味しいところ取りはしたけど完璧に模写してないからセーフだと信じてる。
おかげさまでいい売り上げです。


そんな感じで後輩が我が家に住むことになった。


そして今現在。もう一人の引っ付き虫Aことゼロがいる喫茶店の前にいる
ハムサンド美味しかった。あと何となくだけどゼロが仮面をめっちゃかぶってる気がしたんだよね。原作でもなんとかフェイスって言ってたし…。

とりあえずいつもの塩対応をして素気無く変えることにはしたけれど

さて、食材でも買って帰るか、背伸びをしながら歩き出そうとしたとき、横から肩を掴まれた




「あの、すみません。少々お時間いいですか」
「はあ?人さまの肩に断りもなく触れてくる男性にお時間上げるほど暇じゃないんですけど」




優しそうな顔立ちに細めの眼鏡。こいつ知ってる。主人公の家に居候する大学生だ。

瞬間私の対人スイッチは塩対応へと変化した。
原作キャラに関わると事件に巻き込まれるし死体は見なきゃいけないしといいことがない。友人が言ってた。そして夢小説を書く某サイト様の作者さんたちも書いてた。
なぜか固まって難しそうに唸り始める彼の手を払い。歩き出す




「次にそんなことしたら、張り倒しますから」




さて、今日は寒いしお鍋かな











何のために塩対応してると思ってるんですか?心の平穏守るためですよ


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