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最近息抜きに書いていた小説がたいそう名誉あるらしい賞を受賞した。
編集者の人は手を上げて喜び、担当は涙を流して、アシスタントをしている後輩Bはその日やけに豪華なケーキを2ホール買ってきた。食えるわけないだろ馬鹿野郎
頭の中で後輩Bを言葉で殴りつけながら、私は目の前で紅茶に口付ける友人に招待状を渡した。
「え、こんなの貰っちゃっていいの?沙紀」
「うん、渡す人なんてあんまりいないから」
「今、売れに売れている小説家様直々に招待状なんて、貴方のファンに知られたら後ろから刺されそうね…、ありがたく貰っとく」
「うん、よかったら来てね。親戚の子とかも連れてきていいよ。5人までならそれで通るって聞いてるから」
「そうなの…?じゃあ従妹に子供が居たはずだから連れてくるわ」
にっこりと微笑む友人が楽しそうにチケットをしまう
―――この時気づくべきだったのだろう。これはフラグだと
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