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そして私の意識は途絶える。
それなのに。目の前に立つ獣は何だろう。夢でしか触れれなかったマシュが横にいる。
そして頭に流れてくる、尊大で威厳のある声を私は確かに聞いた
「━━━━━そうだ。私は、本当に、美しいものを見た。」
「刃を交えずとも倒せる悪はあり、血を流さなかったからこそ、辿り着ける答えがあった。」
「おめでとう、カルデアの善き人々。」
「第四の獣は、君たちによって倒された。」
と、けれどこの子はきっと迷っている。きっと、この獣の知識をもってしても生き返らせることが出来るの『一人』
じっと見つめる星のきらめきを持つ瞳に笑いかけて、私は半身を思いっきり下へと突き飛ばした
「じゃあ、生き返るのはマシュだよ」
愛しい私の半身、きっとあなたは一人でも大丈夫。ねえ、そうでしょう?
泣きそうな顔で私の腕を掴もうとした細い手を初めて拒絶して私は、悲しそうに涙を流す星の獣をゆっくりと撫でた
「―――あなたは、愛に生きる人だ」
「そうかな、そうなら、うれしいなぁ」
「―――、」
「これからどうする」
「さあ、どうするんだろう。消えちゃうのか、それともまた誰かに寄生するのか、わからないなぁ」
でも
「あの子が幸せならそれでいいの」
自分でもどうしてここまであの子に献身的なのかわからない
けれど、大事で愛おしい私の半身は、きっとマスターと笑いあえる
そっと目を閉じて、ただの夢想に浸った
そう言えばあの歌の続き、いえなかったなぁ
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