6

「どこかの国にはふぁらおって呼ばれる王が治める国があるらしいけど、姉さん知ってるか?」
「…まあ、知ってはいるかな」
「お、ほんとか?どんな国?特産物は?」
「そこに興味を持つのね…、というか、―――、君ね、服を着なさい」
「ああ、悪い」




あれから十数年の時が立ち、小さかったーーーは立派な大人に成長した。そして彼は今、私と生活を共にしている。
彼と共同生活をしていて4年がたったころ、彼に想いを告げられたが私は首を横に振った。

その気持ちは正直うれしいと思ったけれど、私は彼を良くて弟、悪くて友人としか見ることが出来なかったから。




『……まあ、そんな気はしてたよ。だけど、俺がかってにモブ子を想う事だけは、許してくれ』




諦めたように笑い、手を握った彼に私は曖昧に笑って頷いた。
それにほっとしたのかーーーは「この話はもう、おしまいだ」と手を叩く。本来ならば告白した男と一緒に暮らすなど考えられないんだろうけど、彼はそれを享受する。

そんなーーーに罪悪感を抱きつつ、私は彼が英雄となれるように、最短の道を示した。

人にやさしく、思いやりを持ち、常に正義を。


これまでに見て来た優しい英雄の話を聞かせた

村から迫害されつつも守り通した名もなき戦士、誠の旗に命を懸けた剣士、己の信念を貫き続けた白衣の天使、後世に迫害の皇帝と名を残すことになった民を想う王、そんな王を憎み自らの民を愛した王女、妻と民を心から愛した太陽王、国民に望まれ死刑になろうとも最後まで国家の幸せを願った王妃、そしてその王妃に敬愛を向けた者たち


いろんな話をした。
彼が、彼自身が望む英雄になれるようにと願いを込めて……。












prev next
目次に戻る

bkm






夢小説置き場に戻る
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -