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「さすがねモーちゃん!大好きよっ!」
「メイヴくるしい…」
「最初はただ愛玩するためだけに拾ったけど、もう!私の娘可愛いっ!可愛くて強くて賢いなんてすごいわっ!…それにクー・フーリンがいるからって私のために前線に出てくれるなんてっ!私の娘は本当にいいこねっ!!」
「待ってメイヴ、そんなに高速で頭を撫でるとね。禿ちゃう」
「大丈夫!女の子は禿ないわ!」




豪華な一室で二人の女性がじゃれあう。一人は清楚で淫靡な、真逆の印象を同時に受けるような美女であり少女であるような女性。陶器のように滑らかで初雪のような色をする傷一つない肌を惜しみなく晒す姿は男の劣情を誘い、純白の白に身を包む姿は人々の庇護欲を誘う。対してもう一人は彼女のように白い肌でもなく、かといって、人外じみた美しさがあるわけでもない。ただ普通だ。しかし今の彼女の特徴を上げるならば目が死んでいることだろうか




「…メイヴ…」
「なあにモーちゃん?」
「フェルグスってさ…」
「は?なあに、あの色欲男、モーちゃんにも手を出したの…?」




疲れた様子でフェルグスの名を落とした彼女にメイヴは一瞬にしてその顔を無の境地に落とすと、…なんとも低く、普段の彼女から想像できないような声で聞き返した。
それに対して香は力なく首を振り、くしゃりと髪をかき上げて力なく笑う




「…なんであの美少年があんなおっさんにジョブチェンジするのかな…?昔初心だったんだって?好みドストレートなんだよね。主に愛玩的な意味で」
「やだ…!モーちゃんそれ割と屑の発言よ…?」




知ってる。

真顔で頷き。隣に置いてあった冷水を手に取って口に含めた
というか、小さい子がかわいいねってだけで別にそういう目で好きってわけじゃないんだけどさ。と小さく零した彼女にメイヴは笑みを返すだけだ




「さて、と。モーちゃん次は私も戦に出るわ。モーちゃんに守られてるだけの戦場ってわけじゃなくて、私が正真正銘前に出るの。このコノートの女王メイヴちゃんに前衛は任せて!モーちゃんは後衛で支持飛ばすだけでいいわよ!」
「え、メイヴが敵に捕まってしまうに今持ってる飴ちゃん全部賭けるわ」
「言ったわね!!じゃあ私はモーちゃんが一度だけ私の命令を無視する権利を賭けるわ!」




見てなさい!飴は私のものよ!と意気揚々に私を抱きしめて頬すりをするメイヴは幸せそうに微笑んだ。しかし、モーちゃんと呼ばれた少女はクスリと笑う。それはどこかあきらめにも似た微笑だ
メイヴを移す瞳には慈愛の色が籠っていて、どちらもどちらを大事に想っていることは明白だろう




「大好き、大好きよモーちゃん。貴女が私の側にいてくれるならなんだってしてあげるわ。男としてクー・フーリンにもケルトの猛犬にも心惹かれるけれど、だけど、貴女が一番大事なの。」
「…私もメイヴのことは好きだよ。餓死寸前を拾ってもらった恩があるしね。」




絶対にこの恩を返すからと囁くような声音で彼女が呟けばメイヴは蕩けるような笑みで首を振った




「言ったでしょう?貴女が側にいてくれさえすればいいの。それだけで十分。さ!モーちゃん寝ましょ?今日はこのメイヴちゃんが今まで篭絡してきた男の話をしてあげるわ!」
「いや、男の話には興味ないから、今夜も私が寝物語を語ろうかな」
「あん!いけずぅ!」


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bkm






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