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無事にラーメス2世とネフェルタリお姉さまが結婚した次の日、私は画面越しに見たことがある男の膝に座っていた

どうしよう、めっちゃ怖い




「見てくださいラーメス、私の妹です、可愛らしいでしょう?」
「うむ。そうであるな、して、名は何という?」
「…あ、モブ子と、モブ子と呼んでください」



ラーメス2世ことオジマンディアスに頭を撫でられネフェルタリお姉さまに頬をつつかれる。

…あれ、…私今めっちゃ貴重な体験してる…?



「モブ子とな?ならぬ。よくわからぬが気に入らん」
「…!で、では、ラーメス、私と一緒に妹の名前を考えましょう!」




ぱぁっと嬉しそうにそう話す彼女にオジマンディアスもそれは楽しそうに頷いた

…かくして、人の名前を餌にいちゃつき始めた彼らが私の名前を決めるまであと5時間…この後見事に私はモラブティアと言う名前を拝命した。



人にかこつけていちゃつくのやめよう…?そして夫婦の部屋に引っ張り込んで一緒に寝るのやめよう?君らいつ子作りするの…?後継者は…?


そう思った私は二人が夜の宴で一緒に居る時に思い切ってお願いごとをした(場所は当たり前のごとくファラオの膝の上である)




「お姉さま、ファラオ、私、弟か妹が欲しいですっ…!」
「「!!!」」



胸のまで手を組み、上目遣いでお願いした瞬間二人が明らかに衝撃を受けたように笑顔で固まった。横の方で神官と重鎮が私に向かって親指を勢いよく立てたのが見える。

ビジュアル幼女からのお願いである。

健気でしょう?まだ5歳の子供が、子供の作り方も知らない(ように思われている)私が弟か妹が欲しいなって言うの。

きっと彼らに奴隷を買うとかいう考えはない。

つまり




「いけませんね、すっかりティアのことを我が子の様に思って子供はもういいかと思い始めていました」
「…うむ、余もだ。しかし、モラブティアよ」
「…?はい」
「弟と妹、どちらが良い」




選択肢があるんですか?




「お姉さんになれるならどっちでもいいですけど、私、弟も妹も、たくさんいたら素敵だなって思います」




とりあえずふにゃっと笑みを浮かべて照れるように笑って見せた







そしてその日の夜

私はモーセの部屋に移動となった。


おかしいな、一応私、部屋を用意されていたはずなんだけど…。
笑顔で送り出したネフェルタリお姉さまはたいそういい笑顔だあったことをここに記しておく。一年後にはお姉ちゃんねと言われたが、今夜でできるとも限らないだろうに…

優しげな笑顔で部屋に通してくれたモーセは見た目完璧な儚げな美少年である。性格は少々おおらか。いや、おおらかというよりは天然なのかもしれない。




「いらっしゃいモラブティア。今日はもう寝るかい?」
「…?、んー。モーセさんとお話ししたいなぁ、なんて」
「僕?…うれしいけど、僕はちょっと用事があるんだよね…、ごめんよ」




軽々と私を抱き上げた彼は優し気に微笑むと私をベッドに運んだ。そしてそのまま布団をかけると幼子にするかのような動作で頭をなでる。…いや、姿見は一応、5歳くらいの子供の姿だけどさー。中身は40過ぎだよ?精神的に。本来の姿JKだけど

…残念。一応ファラオから言付けをもらってたから調べたかったんだけどね。

無邪気さを装って笑い、子供らしすぎない程度にかまわないことを伝える。
それでも彼は申し訳なさそうに眉を下げて私の頭をなでると出て行ってしまった

それを見届けて目を閉じる。最近は少しだけ、寝るのが億劫なんだけどな





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bkm






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