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だから驚いたのだ、少年から少し離れてこの国が何の国なのか調べようと思い飛び立った先で、私を認知する少年に出会ったことに



「……?、天女か?」
「マジで?少年視力大丈夫?」



思わずかなり失礼なことを聞いてしまう。しかし少年、うん紛らわしいな、白い子供はコテンと首をかしげると遠くの方を指さして



「あそこに山の頂上に居る鳥まで見える」
「少年、目がいいのは大層だけど逆に生き辛くない?」



お前は何様だと母が怒る声がするが本気で少年の私生活が気になった
ここら一帯では珍しいほど白い彼は所詮アルビノと呼ばれる体質ではないだろうかと勝手に決めつけながら、掴まれた服から手を外させる。心なしか落ち込んだように見えた彼の口に飴玉(リンゴ)を含ませながらあたりを見回すが、一面一体は木々ばかり



「君、親は?」
「(多分)死んだ」
「なかなかヘヴィーなご回答ありがとう!答えさせてごめんね!!?」



なんでこの子落ち込みもせずに無表情で答えることができるのか謎だ。
謝罪の意味を込めてもう一つ飴を口元に近づければ口を開いたので放り込む
ところで放り込んだ時、コツンと音がしたけどさてはまだ入っていたな…?

両方の頬を膨らませて頬張る姿は小動物を思い出させる。つまり癒される

ここ10年間可愛くない黒色の少年(私なのだから名前は言わずともわかるだろう)と過ごしてきたからこういう素直な(…素直な?)子供は可愛い

本来私は子供好きなのだ



「…そういえば、あなたは名を何という?」
「え“…?」



無垢な瞳が向けられて思わず言葉に詰まった
少年はそんな私の姿を見て少しだけ悲しそうな顔を作ると



「やはり天女だから名を明かせないのか…?」
「ううん、私のことは紫苑とでも呼んで!」



一瞬出かけたもぶ子を捨て去り私が少年に笑いかければ少年はふんわりと、…お前が天からの使いじゃねぇの…?とばかりに儚げな笑みを見せた



「そうか、綺麗な名だな、俺はカルナと言う」
「裏切られた気分ってこんな時のことを言うのかな?」



君英霊だね?ってことは黒い少年アルジュナ君かな??

…残念ながら世界史には明るくないから(しかし高校は世界史選択)彼らのお話がどんなものか知らないけれど、だけど一つだけ言える。しくじったと。しょっぱなからもぶ子と名乗ればよかった。

アルジュナ君とカルナの関係はぶっちゃけゲームの方の話で宿敵とかそこら辺しか知らない。

というか授業でも専門学校・私立学校コースだったから世界史の流れもこれくらいは知っておきなさいっていう感じのぬるりとした授業だったし、そんな授業はその国の神話や伝記を名前だけ紹介するだけだったから…、そんな私が彼らの話を知ってるとか無い



「紫苑…?」
「なに?」
「お前は、家に帰らなくていいのか?」



純粋に心配している瞳が私を移した。
けれど私は微笑みを浮かべながら首を振る



「帰ってもどうせ冷たい反応返されるだけだから、しばらくはここにいるよ」



ほら、英霊ってわかっちゃった手前、あんまり関わりたくないし

あと、間違っても私の扱いいいもんじゃなかったし、しばらく帰らなくても大丈夫
そう言った私に、彼は確かに嬉しそうに微笑んだのだ


それからは彼だけにしか見えないことを話し、半年の間、彼の傍で様々なことを教え、いろいろな物語を話し、私が知りえる知識を彼に分け与える

異常と言えるほどに生真面目だからかそれをまるでスポンジのように吸っていく頭に少しの恐怖を覚えたがそれでも楽しい日々

けれどふと、残してきたアルジュナが気になって、カルナにしばらく留守にすると言い残して王宮に戻った。
物陰から、というか割と堂々とアルジュナを観察していたけれど特に気にしてもいなさそうなので一週間ほど滞在したらカルナの元に戻ろうと決意して、アルジュナの部屋に侵入する





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bkm






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