命が終わるまで、現実に戻るまでと制約をかけたはずの魔法が解かれているのに、ここは何度か目にしたことがあるソロモンの―――
「っ!?」
跳ね起き温かみを感じた右手に視線を映せばすぅすぅと気持ちよさそうに眠るソロモンと先ほどまで感じはしなかったが左からも気配を察知してそちらへと目を向けた
そして予想通りと言うべきか予想外と言うべきかゲーティアが眉間に深いしわを刻み眠っていた。しかし、最後に見た時よりも成長していて立派な青年となっている
「ふ、あぁぁ…ふじ?おはよう。もうちょっとだけ、ねようか?ねっ?」
控えめなあくびをしてから最後見た時よりも大人びた顔をふにゃりと崩して香の手を取りそのまま自分の方へと引き寄せる。
予想外の出来事になすすべもなくその胸元に収まった香に「ふふっ」とソロモンは笑みをこぼした
「おはようフジ。君が眠って15年たったよ?」
御寝坊さんだねと妖艶に微笑んだソロモンに対して彼女はその瞳を大きく見開いて…
その腹部に某中国拳法の師匠直伝である拳を叩き込んだ
「いやなんでさ!!???」
「きっも」
「言葉の暴力!なんで!?僕、自分で言うのもなんだけどいい男じゃないの!!?」
「それ、私に言うんだ??数々のいい男と知り合いまくった私に言うんだ?不敬」
「どこかのファラオ入ってる!…あうぅう。長い間過ごしてなかったから色気で押せるって思ったのに!!」
「笑止」
「もぉぉおおおおおおおお!!」