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はぁ、と重々しくため息をついた私に次の瞬間に衝撃が走る。主に膝。ガクンと重力バランスが崩れてそのまま崩れ落ちた。地面に両手をつくことで何とか頭と床との接触を避けたからソロモンよりはマシである



「嫌な予感がしてきてみれば…王に何をしている」
「躾」



黙り込んで彼は手で額を支える
まるで頭が痛いと言わんばかりの表情。
まぁ、だから何だと言えばそれまでだけれど。



「王よ、なぜされるがままなのです。反撃してください。」
「え、あー…うーん。」



部下(幼児姿)に論される大人かっこ悪い
けれどそれを言えばゲーティアから拳か魔術が飛んでくるだろうから口をつぐんだ
というか、嫌な予感がしたから来てみたって…ゲーティア、ホントにソロモン好きだね…元プレイヤーとしてはとても複雑だけど。

涙を流しながら使い魔にすがる主人を視界に入れながら立ち上がり、ゲーティアに声をかけた



「前回の『アレ』なんだった」



瞬間

緩んでいた部屋の空気が張り詰めたものに変わる
顔を歪めたソロモンがゲーティアに視線を向ける



「…それを、お前が居るところで話すことができない」



いつになくきっぱりとしたソレに今度は私が顔をしかめる番だ
一応今回の調査を依頼したのは私なのに、その私には離せないとは何事か。
ソロモンもゲーティアの意見には賛成なようでコクコクと首を振る



「…とはいっても、防衛を担当する者としてハイそうですかと言えるものじゃないけど??」



手のうちに出現させた杖をゲーティアの方に向け私が言葉を紡げば
ゲーティアもソロモンが自分の意見に同意を示した今、私の言葉に頷く義理もないと言わんばかりにその手に本を出現させた



前回のアレとは私がソロモンの国に張った防衛結界が壊されたとまでは行かずとも攻撃を受けた事件。
割と防御は得意だったはずなのだが、あの傷つけ方、並の魔術師じゃ無理だ。
だからこそゲーティアに頼んだというのに、依頼主に反旗を翻すって、ほんと



「張った倒されたいの?」
「貴様にそれができるのか?」



その喧嘩買った



「張った押す」



嘲笑うかのように口元を歪ませたゲーティアに、又はソロモンに向かって威嚇射撃とし、その周囲を爆破させる
そして大事な書類が被害に遭わないようコーティングして舞い上がる風を払うため自分の周囲に風を発生させる
まあ、そこは魔術師(笑)な私。二人に勝てるのは守りやサポートだけで攻撃系なんて、それ以上の攻撃喰らわされて終わりだ。現に煙が晴れ見えた二人はピンピンしてるし



「ひどい、僕まで攻撃することないよね…?」
「相変わらずの威力だな同情に値する」



声を震わせながらも炎を手に出現させたまま警戒態勢を解かないソロモンとやはり鼻で笑うゲーティア。
いや、ソロモンはともかくとして、ゲーティアはなんでそんなに余裕に満ち溢れた表情なのか謎だわ



「威嚇射撃なもんで。第一。私が攻撃系統得意じゃないって知ってるでしょう」
「なぜだろう、急に心の距離を感じる」
「私が得意なのは舌戦です。と言うわけでソロモン」
「嫌な予感しかしないなぁ」



ソロモンの方に目線をやり、杖から手を離す。手から離れた杖は涼やかな音とともに空気に溶けて消えていった
既に逃げ腰なソロモン王と警戒態勢を保つゲーティア

すっと目を細めた私は口を開いた



「今回のゆがみの原因。話してもらえないならば、夢の中に閉じこもるから」
「待ってお願い待ってぇぇぇぇぇぇぇぇえええええ!」



とある某花の魔術師に教わった死ぬまで夢の中に閉じこもることができる方法(脅し)は何故か彼には効果抜群だった。被害者は私だけであるはずなのにだ

こころなしかゲーティアも顔から血の気をひかせている
いい気味と思う前にソロモンが私の腰に抱き付いてきて鬱陶しい



「なに?別にいいでしょ私が居なくっても、だから教えてくれないんでしょ?いいよ、死ぬか現世に戻るまで夢の中に閉じこもるから。最近というかここに来てからあのロクデナシにも会ってないし、丁度いいよね」


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bkm






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