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帰りたい。切実に帰りたい
鎖でぐるぐる巻きにされた私は逃げないようにと鎖に加え横にファラオ、横にナイチンゲール。前にジャック・ザ・リッパ―。目の届く範囲にはウルクの王様大と小。逃がす気の無い完璧な布陣ですありがとうございます。ファラオの生暖かい目がつらい。
おひざの上に待機するジャックがコテンと首をかしげる。ごめんね。まさか君がジャックとは思わず助言して。可愛い可愛いと頭を撫でていれば気持ちよさそうに目を細める。鎖のぐるぐる巻きが胴体だけでよかったわー。


「きちんと説明しなきゃいやよ?」
「女性にあまり手荒な真似はしたくないんだけど、これでも騎士だ、専門ではないといえ、拷問位ならできるさ」
「安心してくれ、これでも医学の心得がある」
「王家組こわいよぉぉおおお…」


リアルふぇええ><とか誰得だよふざけるな。こちとらちょっと不思議な縁を持ってるだけのアラサーだぞ。しかも顔はフツ面だからな
横でバーサーカーの女子(×2)とアサシンの女の子とエミヤさんに誘導尋問されている弟分は放っておこう。足元にいるミニクーちゃんが弟分の足の上で寝ているがアレ絶対に逃げられないやつだ…。兄貴三人衆(杖、槍、若いの)はメイヴちゃんが見張ってる。
でもメイヴちゃんの『後で私にも説明してくれなかったらオコよ?呪うんだからね?わかった?もーちゃん(微笑み)』は戦慄した。ケルト神話にて彼女の呪いは最終的に兄貴を死に追いやってるの知ってるから怖い


「さて、我は気が長くない、申してみよ雑種」
「ギル君はなんでこんなに口悪く…」
「やかましい!貴様が望んだのであろうが雑種と呼ぶかもぶ子と呼ぶかと、貴様が言っていたではないか!!」


この我に話しかけてもらえるだけでむせび泣き喜びに震えるのが普通であろう不敬であるぞ!

そんなふつう知らなかった…。堂々と言い放つ君には悪いけど小さいギル君の目は冷たい
私が思わず身を引けば背中にそっと運ばれるファラオとナイチンゲールの腕。違います、逃げようとなんてしてないです。ただあまりのビフォーアフターぶりに引いてるんです。将来ああなるって知ってたけど、知ってたけど。あれ、でもこの王様は賢王様だから英雄王はもっとひどいのか…?何回目かわからない戦慄を覚えつつふぅ、と居住まいを正す


「よくわからないけど簡単に言えばマーリンの夢バージョンが現実でできてたんだと思う」
「「不敬」」
「ファラオまで!?」


横と前から一寸違わずに飛んでくる声に思わず反応してしまう
いやそうに顔を歪めて「言い直せ」と言われる。なんで?私は簡素にまとめたのに


「あのロクデナシと一緒であると…?我が所有物がそのような扱い、所有物自身が下したとしてもこの我に対する不敬である、言い直せ」
「余と妃の臣下があの阿呆と一緒と?世に対する不敬ぞ、言い直すがよい」


すげぇな王様はどこまでも王様だわ
…それにしても言い直せと、コイツら何を言えば納得するんだよ


「…簡単に言えば、ギル君の宝物庫がいくつもの英雄の道だとすると私はその道にいつの間にか立ってあなたが英雄にいくつもの道を示します。つまりギルガメッシュ王とお揃い!」
「許すっ!」
「お揃いなんて照れますねっ…!」


良かった片方の王様には好評だ…!最後やけだったけど。
チラリとファラオを見上げれば「まぁ、あの阿呆と一緒でなければよいか」とつぶやいていたので大丈夫なはずだ。
あとファラオ頭撫でるの辞めて。力が強くて頭が激しく揺れる。
私がファラオの玩具になっているのを見咎めたナイチンゲールさんがファラオの腕を叩き脳みそミックスは免れた。ファラオはほんとに好きだよね私の頭撫でるの。王妃様も好きだったけれど。『ふふ、王と私と一緒の髪色ですね』って頬笑みながら言ってくれた王妃様は女神だったと記述しておく。


「…?すこし待って。いくつもの道を示してきたのでしょう?彼らの話を聞いてると少しおかしくないかしら?」


コテンとフランスの王妃が待ったをかける。さらりと揺れる銀髪の髪がたいへん麗しい


「え?」


けれど何がおかしいというのだろう
私が首をかしげて見せれば王妃は少しだけ微笑み


「だって、彼らはあなたに遭って数時間であなたが姿を消したというものや長いと30年も一緒にいたという方もいらっしゃるわ。あなたいくつ?」


そんなに飛ばされていて現実世界に影響はなかったの?

まぁ、普通に考えれば至極当たり前のことを聞いてきた。そういえばそうか、不思議に思われても仕方ないのか。
自分の中で整理して頷きながら私は口を開く


「私もよくわかってないんだけど、私があなたたちの目の前で10年過ごしたとすると、私の世界ではたったの一日ほどしかたってないみたいなんだよね。ちなみに現実世界に戻れば身体も飛ばされた時同じだったときに戻る」


次の瞬間、横に居た弟分含めて悲鳴が上がる。何ぞ…いや、我ながらホントに都合がいいと思うけど


「ってことはオタク、見た目に似合わず年増…つか、老人??」
「張っ倒されたいならそう言いなさいよそこの緑茶。あんたらも座にいるとき加えたら私なんてまだ若造でしょうが!そこにいるウルクの王様とかファラオとか座に含めた年数数えたら完璧なじじいじゃん!?」


その瞬間胴に巻き付いていた鎖が一気に首元に上がり鋭い先端が顔の横に来て、青と黄色の杖が首に当たる。


「言ってよい事と悪いことがると思わんか雑種」
「余はまだ若い、そうであるなモラブティア?」
「うっす、申し訳ありませんでした」


目が怖い。そして女性サーヴァントの目も怖い。
絶対座にいる年数含めたらトントンかあっちがはるかに年数高いかどっちかだと思うのだけれどとりあえず謝っておく。年齢の話は禁句だったか。と言うか王様もファラオも気にするのね…


「ってことは、ファラオと王様は下手すると姉ちゃんよりもあれだから、現代に考えると…はっ!王様犯罪ですよっ!!!」
「やめろと言っておろうがこの戯け!!」
「痛い痛い!!」


何かを閃きましたと言わんばかりに顔を上げて立香が言えば青筋浮かべた王様がその頭を大きく鷲頭掴む。なぜだろうあんなやり取りを昔ファラオとしたことがある気がする
と言うか何だろう、立香と王様の絆レベル高いな10じゃん。
意識して見てみれば全員の絆レベルとレベルとレア度が分かる。これがサーヴァント使用?
けれど、何故王様が犯罪犯す一歩手前のような扱い受けてるんだろう


「俺は断固反対ですよっ!年がこんだけ離れて付き合うとなんて言うか知ってますか!?援交っていうんですよ援交!!」
「えぇい、やかましい!貴様宝物庫に閉じ込められたいか!?」
「俺に何する気ですか!?わかった!俺に乱暴するんでしょ!エロ同人誌みたいにエロ同人誌みたいにっ!!」
「貴様の言うえろどうじんしが何かわからんがするわけないだろうがそんな事!」
「犯人は皆そう言うんですよ!」
「誰が罪人かこの戯けっ!」


お前らホントに仲がいいな
まるで乱暴される前の少女のように自分の肩を抱きしめギル君〈大〉を見つめる弟分。中々に様になっていて笑えない
コントしている二人を放置して事情聴取を再開される
今まで出会った英雄や人物を事細かに聞かれながら、私はふと頭に横いる疑問を飲み込んだ


―――英雄手自分が死んだことを認識していないとなれないんじゃなかったけ…










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bkm






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