静かに過ごしたと思う
いろんなことがあったと思う。
いろんな人が、命を落としてきたのを見たと思う。だけど、これだけはいつもなれなかった
慶応4年4月25日近藤勇、板橋刑場で処刑
慶応4年(1868年)5月に沖田総司、死去
明治2年(1869年)5月11日 土方歳三 戦死。
慣れないなぁ、と広い和室で独り小さくつぶやいて。
私は今朝がたに来た手紙を握り締める。
独りだなぁって。ほんとに
2年前におばあさんが死んで店は畳まれて、その数日後にはおじいさんもなくなった。医療技術の確立していないこの江戸で、いや、明治時代で珍しく老衰で。すごくお世話になったおじいさんが死んでも涙なんて出なかったのに、なんで
「なんで、こんな、…手も出さなくて、その癖、浮気ばっかりしかしなかった男のために、涙が、でる、かなぁ?」
おお、いやだ。とても嫌だ。
こんなにもみっともなく泣くなんて本当に
「最悪」
何が大事だったんだろう。何がこんなに悲しませるんだろ
自問自答して、でもわからなくて。
胸が苦しいほど痛くて。なんで、こんな
「なんで私がこんなに、くるしいの」
理由はわかってる、わかってた
だけど、自分のプライドが素直に答えを出さない。
だけど、だけどだけど
―――今だけはみじめに大声で泣き叫んでしまいたい