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「旦那様と呼んでくれ」
「三行半叩きつけられたいなら直球でお願いします。そもそも日ノ本の言葉でお話しください歳三さん」




見たことある体勢で頭を下げる自分の旦那に私は着物を畳みながら冷たい眼差しを向けた。

コイツはいったい何を言っているんだろう、そういうプレイは遊楽でどうぞ。って、遊楽行かれると私がキレるな。やっぱりなしで

顔を上げて私の横に腰を下ろした旦那様は徹底抗戦の構えで私に声をかける




「香、俺は我慢しているほうだと思うんだ」
「愛してます歳三さん」
「すまん、もう一度」
「今日の御夕飯は白身魚ですよ」
「沢庵もつけてくれ、じゃなくだな、もう一度さっきの言葉を」
「血抜きした羽織は居間の方に置いています」
「悪いないつも。ところで香」
「旦那様愛してますよ。愛してるのでこの話は終わりです」




焦れたように眉を寄せた自分の旦那に一度だけそう呼びかけて、唇を合わせればものの見事に固まったのを見てから立ち上がる




「どうぞ手を洗ってからきてください 歳三さん」




にっこりと笑ってから部屋を後にすると、ドンッという重い音が響いて私は口の端を上げた。



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bkm






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