「おう、藤、好きだ」
「一昨日きやがれください」
にっこり。
いっそ慈悲すらうかがわせるほどの綺麗な笑みだ。ただし言ってる言葉に慈悲などまったくもって感じさせないが。そんな二人を見つめながら戸惑ったように団子を頬張る沖田は混乱する。え、あの後なにがあったんだと
「え、ちょ、いろいろ聞きたいことはありますけど、土方さんハウスっ!」
「あ?沖田それはなんつう意味だ」
「お姉さんに教えていただきました。落ち着けて意味らしいですよ!」
「一昨日きやがれください」
「お姉さんっ…!!」
「その、はうす?っての絶対帰れとかの意味だと俺は思うぞ」
わかってんなら帰れよと笑顔の裏で香が思う
そもそも、昨日の告白まがいのようなアレですら記憶のかなたに消し去りたい気持ちだ
そう、頭の中で処理が出来ず固まっていた自分に追い打ちをかけるように男はまた言葉を発したのだ
『将来的には一緒の布団で朝を迎える仲になりたいと思っている』
『は?』
自分でも初めて聞くほどの低い声だった。つまりなにか。自分ににセフレになれと言ってんのかこの男。久しぶりに湧いたわ殺意が。
これが事の経緯である。
ちなみに、後日(結婚後)誤解が解けたあとのマーリンとの会話で、その現場を見ていた彼は思い出し笑いをして倒れた。当時彼はおおいに楽しませてもらったよ今でも語る。