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油断した。

口ぎたなく舌打ちを打って雑木林に逃げ込みながら息をひそめる。野太い男たちの下品な声が聞こえて耳を塞ぎたく気持ちを抑えつつ、そっとあたりを見回した。

沖田に夜は出歩くなと言われていたというのに。

まさか、人斬りの現場に遭遇するとは思わなかったのだ。軽い気持ちで少し遠い町まで団子を届けに行った帰り。金子をケチらずに宿を取ればよかったのだが、後の祭り。それに草履だったために足音を立てて見つかるのだから世話ないだろう。

ここで魔術を行使することも考えたが愚策だろうな。

となれば、どうする?

帯に刺していた扇を使って毒でも撒いて殺すしかないか?考えているうちに足音は近くなり、そっと帯に手を伸ばして扇を抜き取り、風呂敷にいれていた粉末状の毒を取り出そうしたとき。別の足音を自分の斜め前から広い手を止める自分の斜め前。そこは古い小屋があったはず。そこから除く、誠と書かれた提灯に照らされた顔には見覚えはあって…




「おう…」
「………」




後ろから聞こえる人斬り達の足音。目の前にいる男の眼光。そもそも見回りって三人体制でするものじゃなかったっけ。私の記憶違いかしらと首を傾げた瞬間。風を感じ、ふわりと前髪が揺れたかと思えば何かを切り捨てる音と倒れる音を耳が拾う




「え…」
「連行する」
「え…」




倒れこんだ男三名を肩に担いで、男こと土方歳三は簡素にそう言い残してさぞかし間抜けな顔をしたであろう私を置いて行った。え、何事。

風が吹き、私は一つくしゃみをして不燃焼のまま帰路についた。


今回の反省を生かして次から夜に出歩かないようにしよう



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bkm






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