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「お姉さんまた来ちゃいましたっ!」
「いらっしゃい。沖田ちゃん」
「や、やだなぁ、ちゃん付けなんて照れちゃいます。あ、聞いてくださいよお姉さん。今日も土方さんがひどいんですっ!」




ぷんすこ

そんな形容詞がついてしまいそうなほど頬を膨らませ、愛らしい、ふつ月ほど前に甘味処を指さしてはしゃいでいた少女が私を見上げる。
肩までしかない淡い髪が浴衣の空色にとても似合っていた




「沖田ちゃんの筋がいいから厳しくしちゃうんじゃないかな」
「はぁあああ!?筋がいいなら甘やかすでしょう!!もー!!おねえさんみたらし十本!!」
「太るよ」
「なんでそこだけ真顔なんですかぁ」




目じりに涙をためながら「お金払ってるからいいじゃないですかぁ」と情けない声音で彼女沖田総司が私の服を掴んだ




「まだ一つも食べてないですっ!」
「一つも食べさせてないです」
「お−ねーえーさーんーー!」




流石に10本はダメかなって思うの。糖尿病の始まりだよ?痛くない程度の力でこちらをポコポコと拳で叩き、泣きまねを始める沖田は意地が悪い。

そもそもモブを宣言した私が何故彼らと関わっているのかと言えば、ふた月ほど前に彼・彼女がお店に来たことから始まる。どうやら沖田は京の町に来た時からこの店の常連で、私がこの甘味処で働くようになったのと同時に仕事が忙しくなってきて最近ご無沙汰だったとのこと。

そして働いている私を見て子犬ばかりに近寄ってきた彼女は私のことを「団小屋のお姉さん」略して「お姉さん」と呼ぶようになる。

ここで下手に距離を取ろうとすれば彼女は不信に思うということは今までの旅行で嫌というほど知っていたため私は何事もなく彼女に接した




「…あ、そうだ、お姉さん」
「んー?」




結局みたらしを10本頼んだ沖田にお茶を差し出せば呼び止められる。どうしたんだろうとお盆を胸に抱えたまま振り返ればやけに真面目な顔をして沖田が口を開いた




「最近京の付近で人斬りが頻発しています。今のところ女性が被害にあったとは聞いていませんが、気を付けてください」
「…人斬りが…、うん分かった。気を付けるよ」
「お願いしますね。なるべく夜は部屋から出ないように…っと、お姉さん次三色団子お願いします」
「まだ食べるの!?」


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bkm






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