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…まあ、要約してしまえばさすがのマーリンでも神様にまで干渉できず、私に会いに来ることはかなわなかったらしい。どういうことだろうと首を傾げて見せれば、小さく泣きそうな声で「怖いから」と聞こえてしまい、思わずキュッと唇を噛みしめ全力の同意を示す。
日本の最高神様怖いよね。呪いなんて得意分野でしかない彼女だ。私も怖い




「でも、よく干渉できたね、怖かったんでしょ」
「え、いや、何故だか知らないけれど天照から香への結界が消えたから…」




多分それ尾をなくしたからだわ。いま一本だし。でも不思議なことにこれ以上増えないんだよなぁ。たぶん、天照が言った通り神として完成しかかった私が死んだからじゃないだろうかと思ってる。尾と引き換えに天上に玉藻ちゃん送ったからなぁ

たまに夢に出るよ玉藻ちゃんが。けして天照じゃない玉藻が。君その姿好きだねって言ったら「戻ってくるまでやめません」とそっぽ向かれて言われた。ごめん、永遠に天上には行かないかなってお姉さんちょっと思ってる。




「結界が消えたからマーリンが会えるようになったわけか」
「うん、あと、多分もう一つくらいは理由がある気はするけれど、その理由が何かまでは、私もわからない。だけど、香、君が…、いや、コレは黙っておこうかな」




何故か悲しそうに目を伏せて、マーリンは両手でそっと私の手を握る




「香。香が今、きっと違和感に思っていることは、絶対に忘れちゃいけないことだよ。…だってそれは失くしたら、きっと二度と元には戻らないものだ。今は外的干渉がないから少しずつ戻ってきてる。だけど、再び触れられて囚われれば戻れなくなる。そうなる前に、気づいて、戻って、何でもいいんだ。そして、また私と【普通】の関係に戻ろう。今の香も私は好きだけど、やっぱり、人間らしい香が一番だよ」




綺麗に微笑んで見せるマーリンは私の手から両手を話すと私の肩を後ろへと押した




「香、また夜に」
「…マーリン、また、夜にね」




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bkm






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