「香ぅぅゥウウウウ!!」
久しぶりに見た夢への来訪者は私の姿を目にすると、全力で抱き着いてきた。前回会った時よりだいぶ伸びた髪を撫でつけてやれば子供のように涙を流すものだから笑ってしまう
「マーリン久しぶり、大きくなったねぇ」
「三百年もどこに行ってたんだっ…!香が生きてるのはわかるのに、干渉できなくて、私がどれだけ心配したとっ…!」
「マーリン時計では三百年なんだね、私からしたら千年とちょっとは経ってるんだけど」
止まる気配のない涙を流す目じりにそっとハンカチを押し付けて落ち着かせるように背中を撫ぜる。それにしても、なぜ今日急にマーリンに会えるようになったのか。というかタイミングが良すぎじゃないかと考えていれば、まだまだ止まらない涙を私のハンカチを手に取って拭う彼が顔を上げた
「せ、せつめい、するぅう!だから帰らないでっ…!」
「お?いま思考読んだ?」
「ソレも説明するから、うぅ」
だから帰らないでと大泣きする見た目成人男性のなんて情けないことか。…いや、うん、正直に言おうかな
久しぶりなせいだろうけど、マーリンがすごく私の母性に訴えかけてくる。おかげで私の胸は高鳴りっぱなしだ。可愛いなぁなんて言葉じゃ済ませることが出来ないくらいに甘やかしてあげたい気持ちになる。すごいぞ、マーリンがウザくない。昔マーリンに感じてたちょっとのウザさが今はない。
「うん、わかった、ゆっくりでいいよ、ゆっくりね」
「香っ、うん…!」
頭を撫でて謡うように囁いて目を細め、少しだけ驚いたような顔をしつつも彼は満面の笑みで頷いた。
大丈夫かなこれ、赤ちゃん返りならぬ幼児返りしてないかな?よーしよしと犬にするように顎やら頭を撫でまくり、ゆっくりと話を聞く。