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最近、よく出雲の神々が私を見ては同情の眼差しを向ける。天照大御神こと、後の玉藻ちゃんが駄々を捏ね始めたことが始まりだった。




『よくよく考えてみたのですが、私以外の神々は下界に干渉しているのに、私だけ干渉してないなんて、最高神としておかしくありません?』




いいえおかしくありませんと誰かが言えればよかったんだけれど、神力の差というか、まあその他もろもろで誰も進言できず、一昔前であれば伊弉諾尊と伊邪那美様から生まれた黒い大蛇の神がいたのだが当の大蛇の神は何の因縁か人間によって封じ込められている。人間の力は神をも封じるのか、それとも人間のバックに天上の何かがついていたのかは封じられた本人以外分かるまい。




「だからと言って、私が天照大御神のお目付け役になる意味が分からないんだけどね」




出雲にて他の神々から通達されたソレにそっとため息を零す。彼女が生まれたての頃からの付き合いではあるししょうがないのだろう、それに、私の身体はすでに人のモノではなくなった。
それを知ったのは結構昔で、数えるのもおっくうで…、しかし忘れない、完璧な笑顔で「人の子が天上のモノを口にして、ただで済むとでも?」と言い放ったことを

―――それを言われたのはこの世界に足を踏み入れてから三年目の出来事だった。




「おかげで軽く神様の域だからなぁ、まあ、そもそも私自体がイレギュラーなわけですけど」




今日は最高神様直々に下界でのお役目をお伝えしていただけるらしいから、気は乗らないけれど現実逃避はやめなければ。

…え?もちろん嫌味ですけど?




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bkm






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