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「クラスはキャスター!マスターの命により限界しました。…お?立香?…!?」


青白い光に導かれ私が目を開けた先にはとんでもなく驚いたかのように間抜け面をさらしたマスターことお隣の住民であり、可愛い可愛い弟分でもある立香くん

いや、それはどうでもいい。

え?私英霊!?
ガチで?英霊になっちゃったの私!?

あれ?そういえば私いつ御臨終したんだろう?社会人としての記憶あるよ!?



「ね、ねねね…ねえちゃんんんんんん!!???」
「マスター!?どうしたんですか!?」



私を指さしながらガタガタ震える可愛い弟は今にも気絶しそうなほど顔が蒼い
横に居るのはマシュちゃん?かわいい!
私の中でも永遠のパーティメンバーだった
コスト0で強かったし、入れない理由が見つからない子だよね!

それにしても英霊とは、そんなに偉大なことしたのかな…?


上にぺかーんと光るお星さまの数は3とか中々にシビアだけど…
ここはなんちゃら特典とかで5とか4とかじゃないの??
いやいいけどさ。どうせ一般人ですしぃ?
一人でひねくれながらマスターになったらしい立香君をもう一度見ようと顔を上げたとき終末を告げる声が聞こえた



「おーい、坊主。新しいのが来たんだろ?さっさと案内、を…」



うふふ。なんか見知った顔がいるー
画面越しでもリアルでも見た顔がいる―
しかも別れ方が中々にアレだった人だわ…

壁に寄り掛かるようにこちらを覗き込んでいた光の神子様の顔が…なんかすごく見られている気がする

いや、見られてる

眼光が開いててこわいっすキャスニキ。
召還と一緒に持っていた上品な細工が施される身の丈以上の杖を抱きかかえ後ずさればそれを目ざとく見つけた奴の行動は早かった



「数世紀ぶりだな軍師さんよぉ…」
「う、うっす。久しぶりです神子様…」
「あんとき急に消えやがってよ。死んでからようやく見つけるたぁ、俺も運がねえよなぁ?」



獲物を見つけた捕食者のごとく光る紅の瞳が怖い
立香くんよ冷静に「キャスニキがマジ切れしてる」って悠長に解説してる暇あったら宥めてよ
嫌な汗がだらだらと背筋を流れる



「い、いや、出会えたわけだし…」



弁解するように口を開き言葉を紡げば光の神子様は男の色気たっぷりに笑いかけ




「そう、出会えたわけだ。ならやることは一つだ。分かるか?軍師さんよ」



「……スキル。<その他大勢>っ!」



我慢が出来ずに叫ぶように自分のスキルを解放し私は逃げ出した
私の第一スキル<その他大勢>は名前こそあれではあるが自分の姿を最大4ターン景色に擬態させる。そのため敵の攻撃が効かない能力
認識できなければ攻撃はできないからね!今回味方にやっちゃったけど!

そのほかの解放後スキルは回復系と補助系である

それよりも立香君には悪いがアレはヤバい。キャスニキと言うよりクー・フーリン全員ヤバい。見つかるわけにはいかない

…オルタの兄貴は大丈夫だったらいいなぁ…

彼らの私に対する因縁は数多くある。なんせ敵だったもので!飛ばされて保護された国がクー・フーリンさんの国と敵対国だったもので!散々やらかした思い出しかないよぉ―――!!!

負けたけど!負けて最終的にはクー・フーリンさんの戦利品として攫われたけど。攫われてやけに豪華な部屋に通されて、さあ、今から隷従の首輪をって時に強制送還のお時間。マジでありがとう!

私軍師だったから顔を会わせる回数自体は少なかったのだ。



「っ、ふ、ぅ。ここまで来たら大丈夫っ!」
「ほう。何が大丈夫なのだ?」
「そりゃもちろんキャスニキからの逃亡かな」
「へぇ。逃げなきゃいけない理由、是非とも教えてほしいものです」
「話せば長くな、…ん?」


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bkm






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