11





「「「っ!!!」」」

三人で一斉に振り向いた。

茶色のふさふさした髪の子供と、灰色のぼさぼさ髪の子供。

見るとその子供二人はまだそう大きくなかった。六、七歳ほどだろうか。
自分たちと身長も対して変わりない。
しかし人は人である。おそらく、尾も見られた。

大人を呼ばれたらまずい。

傷付けたくはなかったが、こうなってしまうと仕方がない…っ!

そう思った三郎は痛む体を動かして、二人の子のうち一人へ掴みかかった。

「え?わ、わぁ!」

向かったのは茶色の髪の少年。
伸ばした爪が、彼の腕を服ごと裂く。
少しだけ、心が痛んだ。

しかし、これで怯えて離れていってはくれないだろうか。

心の中でそうも願った。しかし。
「ぼ、僕たち、敵じゃないからっ!」

え、と思った瞬間、腕を掴まれる。
人型になっていた肩をぐっと掴まれ、強制的に少年の目を見る形になった。

人型になっている三郎の黒髪が揺れる。

「「三郎!」」

遠くから兵助と勘ちゃんの声が聞こえたけれど、三郎はそれどころじゃなかった。

「君達を傷付けたりしないっ!治療をしたいんだ!」

そう訴える目の前の少年に釘付けだった。

意思の強そうな綺麗な目。逸らすことができない。

「君のお友達も、手当てするから。じっとして、ね?」

ぼーっとした三郎は、少年の、嫌だといわせないほどの声に、ああ、としか返せなかった。

「よかった!」

そういって彼は笑った。すると、その目も、肩をすくめる仕草も、動く頬も、全てが素敵だと思った。

ふっ、と掴まれていた腕が離される。

「三郎!大丈夫か?」
「へ、変なことされてない!?」
そういって後ろから、バタバタと兵助と勘ちゃんが走ってきて、それで三郎はようやく頭がはっきりした。

「え、あぁ、大丈夫だ、何もないよ…」
心配してくる二人に声をかけると、

「おーい、そこの三人!ん?三匹か?こっちのほうが広いからこっちで手当てするぞー!こっちこいよ!」

見ると、灰色の髪の少年が手を降っていて、そのとなりで、茶色の髪の彼も笑っていた。

「…大丈夫、なのか…?」
兵助が聞いてくる。

「…大丈夫だと思う…。どちらにしろ、あのままだと私たちは終わっていただろう?こっちのほうがまだ生き残る可能性があるじゃないか」

そう返して彼らの元へ向かう。

三郎の頭の中では、さきほどの茶色の髪、輝く目、それらが浮かんで、離れてくれなかった。

prev next

 

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -