炎の女
炎が、赤く燃え上がる。
それは、いつも見る悪夢。
―これで、何度目なのだろう?
夢の中なハズなのに、悠長にそんなことを思う少女。
炎が、まるで柱のようにそびえ立った。
それは高く、美しかった。
いつもとは違う展開に、驚く少女。
『クレハ…。』
その炎の中から、誰かが語りかけた。
―え…?誰…?
炎に覆われて、なにも見えないが、それは女性の声だった。
麗しく、瑞々しい声は、まるで耳に溶けるかのようによく聞こえた。
『あなたの道を選びなさい。
そして、他人を信じなさい。
それが、あなたの最大の力となる。』
―意味、分からない…。
『どれを取るも、あなた次第…。』
真紅の焔の中ゆるりと笑う女性が、一瞬だけ見えた気がした。
そしてその奥には、きらめく銀河が見えた。
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