自己完結
「クレハ…!?
大丈夫!?」
うずくまる少女に駆け寄る女子生徒。
そして鮮血で染まる彼女の手のひらに悲鳴を上げた。
「大丈夫!?
血が…!?」
「…大丈夫。
目は無事だし、この傷も浅い。」
周りは慌てに慌て、青白い顔をしているのに対し、けがを負わされたほうのほうが平静だった。
手慣れた手つきで自分のカバンから出した包帯で止血する。
「おい!何があった!?」
ガラスが割れる音を聞きつけてきた教師。
割れた窓ガラスと、鮮血に染まる包帯を腕に巻き付けている少女を見て瞬時に状況を把握したのかクレハに駆け寄った。
「何があった!?
それに、お前…その傷は大丈夫なのか!?」
「今は状況説明するより割れたガラス処理するほうがいいですよ。
二次被害起こりかねないし。
それと、私は大丈夫です。
ガラスで浅く切っただけだから。
…でも、流石にこれじゃあれ何で保健室行ってきます。」
ガラスにぶつかった左肘と破片で切った二の腕を教師に見せ、彼女は何事もなかったかのように教室を出た。
冷静すぎる対応と、痛みを感じていないかのような平静さに思わず震えが生じた教師。
他の生徒も、けがを負わせた男子生徒もその異様な態度に恐怖を覚えずにはいられなかった。
「…あーぁ。
また包帯買わないとな。」
血で赤くなった包帯を見て、少女はため息をついた。
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