優しさ


童虎と一緒に教皇の間まで進む。
私も童虎も足取りが重かったのは気の所為ではなかっただろう。


「お待ちしておりましたよ、サナエ様」


教皇の間で出迎えてくれたセージさんは、とても良い笑顔だった。
だが良い笑顔とは裏腹に背後から見える覇気は霞のように揺らいでいた。
確実にお怒りのセージさんから逃げられるわけがない私と巻き添えの童虎は素直にセージ様の前に立った。


「さて、サナエ様。
 私が何を言いたいのかもうお分かりでいらっしゃいますな?」
「は、はい」
「色々とお話ししようと思うのですが…その前に、正座をしてください。
 話はそれからです」
「ひえ…」

穏やかな笑顔を浮かべながらも、言って居ることが全く穏やかではないセージさん。
抵抗せずに座る。
隣の童虎もセージ様の圧に負けて私に倣って正座をする。


「…では、まずは一言。
 ―あなたは何を考えているのですか!?」
「す、すみませんでしたーーー!!!!」


そこから始まった地獄・・・というなの説教の時間。
私と道連れの童虎はセージさんのとても有り難いお話を聞くこととなった。
解放されたのはとっぷりと日が暮れて、もう夜になる手前になる時間。
一通りはなし終わったセージさんが教皇の間から出るまで続いた。
ぷるぷると転がる私と童虎が床に転がる。


「あ、足が、つるかと思った!」
「お、おぬしのせいでわしまで説教喰らったではないか!!」
「ふごッ!?
 や、やばい…。あるくところか身動き一つとれねえ…。」
「…さすがにそこまでではないがのう。」


童虎もあたしの道づれで同じ時間正座してたのに、もう復活して胡坐かいてる。



「報復じゃ!」
「ぅぎゃああああああ!!」


童虎が私の投げ出した脚に触れる。
その瞬間、電撃でも喰らったのかと錯覚するぐらいのしびれが走る。



「いたいィイイイイイイ!!!!!
 やばい!めっちゃくちゃ痛い!!!!」
「そこで悶絶しておれ!!」
「おま、最低だ!」
「どっちがじゃ!無関係なわしまで説教喰らったではないか!」
「しゃあないでしょ!?あんな怖いお説教を一人じゃ受けられないもん!」



実際問題泣くかと思ったよ。
目元が見えないのがそこまで恐怖とは予想外だった。



「ッあー、風呂はいらなきゃな。
 汗臭いし、埃すごいし…。」



二の腕の匂いをかくと、汗臭かった。
そりゃあんなハードすぎることすれば、そうなるか…。


「ついでに、治療もしてもらうといい。
 あとが残ったらまたうるさいぞ。」

「ぅは、そりゃ勘弁。
 ぁたた……それじゃ、お風呂入ってくるね。」


立ち上がって、自分の自室となった部屋に向かう。
あー、これは明日は筋肉痛だな。



「サナエ!」

「ん?」


童虎に呼ばれて振り向くと、何かを投げられた。
それを危うく受け取ってみると、小瓶の様なものだった。



「打撲と打ち身によく効く薬じゃ。
 塗り込んで、包帯で巻いておくといいじゃろう。」

「・・・ありがとう!」



レグルスも優しいけど、童虎も優しいんだね。
少しだけ、見直したわ!








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