知らなくてよかったこと




あんな大それたことをアテナ…サーシャに約束した次の日、
私はブラブラ廊下を歩いていた。
まず何から手を付けて良いものか、とりあえず動きながら考えることにしたのだ。



「サナエ様」

そんな不振行動を行う私を、背後から誰かが呼ぶ。
振り返ると仮面をかぶったローブを羽織ったセージさんが立っていた。


「あ、セージさん!」


サーシャの隣に控えていたこの仮面の老人は、どうもに苦手だ。
怖い。おもに仮面が。
何で、目元見えないんだろうか?


「アテナ様から話を聞きました。
 そこで明日から、あなたの修行を始めたいと思っています。」
「お、お手数掛けます。」
「いえいえ。
 …貴方の望みを聞いて私は感動しました。」
「え?」


感動…?
どこら辺に?



「私は、前聖戦の生き残り。
その時、多くの死を見てきました。」
「……」
「そして、今回も仲間の死を見て、ふみこえていかねばならない。」



表情はよく分からない。
ただ、ひどく哀しそうで、恨んでるようにも見えた。




「それを、あなたが止めるとおっしゃった。それが、私にとっての希望なのです。」




…折角、そう言ってくださるのはありがたいんですが




「私に何が出来るか、どこまでできるかは分かりません」



ギュッと、拳を強く握った。
決意を込めて、セージに言う。




「ですが、絶対に終わらせて見せます!この争いの輪廻を必ず終わりへ導きます!
 両軍ともに、これ以上の犠牲など出させるわけにはいきません!」
「・・・よい目をしていらっしゃる。
 あなたと、女神がいれば、出来ないことなどないでしょう。」
「ありがとうございます!」
「それでは…。」


くるりと、もと来た道を戻るセージさん。
あー…緊張した。



「前聖戦の、生き残りかぁ」



・・・ん?
サーシャ昨日聖戦って約200年の間隔が開くって言ってなかった?




「っは?ってことは、セージさん、二百歳ィイイい!!??」




もはやそれは人間じゃねえだろうがぁああ!!??






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