ゆびきりげんまん


「本当に!?」

「お、おい!サナエ!」

「平気平気!」



だって、寂しいじゃないか。
あの二人がいつ帰れるなんて分からないのにずっと待ち続けるなんて。
テンマはともかく、アテナとして忙しい上に最優先な保護対象であるサーシャなんて特に。


「でも、テンマは僕と会ってくれるかな?」

「え、何で?」

「約束したんです。
僕は立派な画家に。
テンマは聖闘士になって帰ってくるって。」

「アローンくんはともかく、テンマは時間かかりそうだね。」


「じゃな。」


私からしたらテンマだって十分強いけれど、正式な聖闘士とかはもうレベル違うに強いらしい。
らしい、というのはみんなの修行中の姿しか知らないので本気の戦闘でどこまで強いのか全く知らないからだ。



「だったら、その時は引っ張ってでも連れてくるよ。
約束も大事だけど、あのおばかさんのせいで何年も待たされたら萎えちゃうよ。
だから、私があの馬鹿引っ張ってくるまでに立派な画家になればいいじゃん!
それが、あたしとの約束でいいかな?」


「サナエさん…。」



アローンくんの目が、少しうるんでる。
やっぱり、寂しかったんだよね?

たった一人で、取り残されるのは寂しいよね…。



「それじゃ、指切りね!」

アローンくんのに向かって小指を立てる。
見たことない動作にアローンくんは小首を傾げた。


「ゆびきり?」

「うん。私の国での約束するときの儀式だよ!
相手の小指と自分の小指を絡ませたら、それで約束が成立するんだよ。」



アローンくんのギュッと細くて白い小指と自分の小指を絡ませる。


「指切りげんまん 嘘吐いたら針千本のーます! 指切った!」


パッと指を離す。
アローンくんは離れた指をそっと胸に近づけて頬を赤らめた。



「…これで、約束成立ですか?」

「うん。そうだよ!
約束したからには、絶対私はあいつとサーシャ引っ張ってくるから!」



私は全力で笑顔をみせると、アローン君も微笑んでくれた。



「僕は、その時までに立派な画家になります。」

「絶対だよ?」

「はい!
サナエさんも、忘れないでくださいね。」

「もちろん!」


その後、私はアローンくんを家まで送り届けてその街を去った。


約束、絶対に忘れないからね?







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