気になる話






「こうして、あなたと顔を合わせるのは何百年ぶりでしょうね。」


私の口が、勝手に動く。
意識ははっきりしているのに、体の自由が全く効かない。



『世間話など、時間の無駄だ。』
「それはそうですね。」


見えない壁で遮られるかのように、私はそれをみていた。
先ほどと同じ視点のはずなのに、
全く違く見える。


「単刀直入に言わせて頂きますわ。
 いますぐ聖戦などくだらないこと終わらせなさい。」
『…あいかわらず、はっきりとしているなお前は』
「あなたのように奥手ではありませんから。」


口から出るのは、自分では絶対に言わない丁寧で上品な言葉。
今話してるのは、デメテル?



「ハーデス。
 あなたには何物も奪う権利などありません。
 いいえ、私たちに、はといった方が正しいでしょうか。」


凛とした態度で、ハーデスに臆することなく言葉を繋いでくデメテル。
やっぱり、凄いや…。



『なにが言いたいのだ、デメテル』


「神が、人の営みにどうこう口出す必要がないといっているのです。
 私たちはそれぞれつかさどっているのものがある。
 その神が人の営みを壊すことなど無粋ですわ。」
『…何が言いたいと聞いているのだ。』




はっきり用件を言わないデメテルの、明らかな不満をもった顔で睨みつけるハーデス。
怒らせて平気なんですか…?デメテルさん。




「分かりませんか?
 ならば一言でいいましょう。


 さっさと冥府に戻りやがれ」




・・・・アレ?
デメテルさん、言葉づかいおかしくない?
え、なんか、女神らしからぬ言葉が…。





「大体、私から愛娘・コレーを誘拐したあなたが、
 地上の事どうこう言える身分だと思っているのですか?
 そういう意味では貴方だって大して変わりませんわよ。」
『そ、それは!!それはゼウスが…』
「お黙りなさい。
 いいわけなど聞きたくありません。」



言い訳しようとしたハーデスを一蹴とか、
かっこよすぎるでしょーがこの女神。





「そんな言い訳、
 この私に通用すると思っているのでしたらとんだ甘い考えですわ。」





こえー…何だこの怖い女神。
え、あたしこんな人が中にいるとか怖すぎていやなんだけど。





「とにかく、今すぐにそのからだから出て行きなさい。
 いいですわね?」
 

『・・・・・・・・分かった。
 お前の言うとおりにしよう。
 お主と争ったところで利点などない。』





…死の国の神様、大地の女神様に負けたよ。
てか、あんたこの神のお兄ちゃんじゃないの?
なにお兄ちゃん妹に負けてんだよォオオ!!!
…あ、でもこの状況じゃ勝っちゃだめか。





『だが、デメテル。
 お前だとて、分かっているだろう?』
「・・・・それくらい、承知していますわ。」



・・・え?
なに、何の話?




「私は、その時までこの世界を…。」




凄く気になる場面なのに、意識がぶっ飛びそうだ。
ああ、凄い、気になる。

デメテルは、何を言おうとしてるの?







-54-








back
しおりを挟む


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -