一条の光





キラキラ光る金色の髪が、闇と同じ漆黒の髪に変化した。
木に止まっていた鳥たちは騒がしい鳴き声を残しながら飛び立ち、
木や草や花はザワザワと不安そうに揺らいだ。
私はその光景に、恐れてひかないように心の中で「大丈夫」っていう言葉を百回くらいリピートしてた。



『デメテル。
 そなたもその騒がしい娘の中から出てくるがよい。』

「生憎女神様は現在引きこもり中なんですよ。
 厨二病チックな兄上様とは会いたくないそうで!」
 
『生意気な・・・。』


空気が、重い。
漂う強い死の気配をまじかに受けた私は、自然と体が小刻みに震えた。
あぁ、これ私が死んだときめっちゃくちゃいじめられるんじゃないかな。
ま、死んだ時の話しなんていいか。
そんなことよか、さっさと目的果たさないと。


「用件だけいうよ。
 アローンくんの体から今すぐ出て行け。」

『断る』

「即答か!」

『何故余がお主に言われて引かねばならん。』

「私がいうからひかないんかい!
 これはあたしが言ったというよか、デメテルが言ってる言葉なんだからね!」



まあ、私自身の言葉だったりするけど。
それでもデメテルだって同じこと思ってるから嘘じゃないはず!



『デメテルが…だと』



少しだけ、考えるそぶりを見せたハーデス。
よし、この調子だ。



「デメテルは、聖戦を止めて欲しいんだってさ。
 これ以上、大地を血と憎しみで汚すことを許すことは出来ないって言ってましたよ。」


『…それが、デメテルの意志だといっているのか?』



ハーデスが、不愉快そうに顔を歪めた。


『今まで、大地を汚してきたのはお前たち人間自身だ。
 それなのになぜデメテルそれを許すのだ。』

「そんなものデメテルに言ってよ。
 少なくとも私はそう聞いただけだし…」


デメテルは人の営みが好きだといってくれていた。
だけど、人間を許しているのかまでは私にはわからない。




『…ならば、デメテルを出してもらおうか。』
「だから、デメテルは…」



ハーデスはあたしの言葉を聞かないで、指先をあたしの額に当てた。
クラりと、あたしの意識が遠くなる。
瞼が重くなって、瞼を閉じたとき

その奥に、一筋の光が見えた気がした。








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