捜索



準備が終わった私は、二人と一緒に聖域を出た。
ここからどうやって目的地まで行くのだろう…。
車とかここにきて見たことないから、まさか馬車とかなのだろうか?

そう考えていると、シオンさんが私の傍に立った。


「サナエ様、少しだけ失礼します」
「へ?」

そういってシオンさんは私の肩に触れた。

「!?」

突然触られたことにも驚いたが、それ以上に視点が一瞬加速したかのようにぶれたことに対して一番驚いた。
一瞬の浮遊感のあと、地面に足がついたときには周りの景色は一変していた。

「もしかして、いまのがテレポート?」
「はい、そうです」

セージさんから小宇宙で出来ることの中の一つとして教えてもらってはいたが、
実際体験してみるととても感動だった。


「うわ、すごい!
 話しには聞いてたけど、本当にできるんだ!」

「おぬしもそのうちこの修行をするらしいぞ。」

「え!本当に?」


もしもこれが自分でもできるようになったら好きなところにも行ける。
元の世界でも使えたら無遅刻だし、移動も必要なくなる!
早く教わりたいなぁ、なんて呑気に考えたが護衛の二人はすぐに任務に頭を切り替えて話し始めた。


「それで童虎、ここが大聖堂がある街なのか?」
「ああ。ついでに言うと、ここはテンマの故郷じゃ。
 わしがテンマと会った場所でもあるんじゃ。」
「え、テンマは此処に住んでたんだ。」


サーシャはテンマと同じところにいたって聞いたから、
もしかしてここはサーシャの故郷でもあるのかな?



「そんな所に、ハーデスの形代がいるのか。」

「…あとはおぬしが見つけるしかないな。
 デメテルから話を聞いたのはおぬしだけなのだから。」

「あなたならば、見つけられるでしょう。」



当たり前の如く二人が私を見て話す。
信頼してくれているのだろうととてもうれしい気持ちはある。
あるのだが、言ってることがかなり難易度が高い。



「だいぶつらい無茶ぶりだね、それ」


でも…




「やるしかないよね、これ。」




いっちょ探してみますか。
覚悟を決めて、私は意識を集中させた。










-50-








back
しおりを挟む


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -