人間離れの実感




女官の人たちに準備してもらって、私は湯船につかる。
最初湯船に入ろうとしたときに大勢の女官さんが私の世話をしようとしたは驚いて、
全力でお断りしたのはいい思い出だ。
どうやら高貴な人は自分一人で何もやらないらしい。
私自身は高貴な人じゃないから全く理解できないが。


「ッあー、何でお風呂ってこんなに気持ちいいんだろ!」


お風呂から出ると、かなり気分は壮快だった。
汗も汚れも落とすと、ようやく人心地が付いた気がする。
自室に戻って、ベットに腰掛ける。
本当はそのまま寝てしまいたかったが、その前に一つやることがある。


「薬塗って寝るか。」



さっき童虎にもらった小瓶のふたを開けてみて、思わず閉めた。



「く、クサッ!!!
 なにこれ!?めっちゃくちゃ臭い!!!」



青臭いさと刺激臭が混ざって鼻が曲がりそうだった。
臭気の所為で涙目になる。



「…せっかく風呂出て爽快だったのに、これ塗るとか…」



・・・出来ればいやだけど、痕なんて残したらやばいし、
折角もらったものだし塗るしかないね。



「ぅう…くっさ、指がくさくなるぅ…。」


トロミのある緑色の液体を数滴、あざになってる所にたらす。
薬指でゆっくりと塗りこんでいくと、違和感に気がついた。



エェェェエエエ!!??


痣が綺麗消えた。
何事もなかったかのようになった肌に、目を剥いた。


「なんだこれ!?え?今の汚れ!?」


もう一度試しに、あざに数滴たらして薬指で広げると、
まるでお湯のかかった氷のように消えていった。
…効くって言ったってこれはないだろ。
ぐるぐると考えたが、一つだけ思い至った。

私が、普通じゃなくなった要因。


「…もしかして」



これはあなたの力なの?
デメテル…。
私の中にいると言われた女神。



「アーー!だんだん自分が人間離れして行ってる気がするぅ―ーーー!」





もうやけくそで、ベットにダイブした。
それだけで瞼が重くなった私はすぐに暗い闇へと落ちていった。







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