牡牛座の男




「な、なんでサナエが此処で!?
しかもなんじゃその格好!!」
「さ、さーせん。」


めっちゃくちゃ驚かれた上に、まさかの童虎からのお説教。
…これからセージさんのところいって雷喰らわなきゃいけないから、
あんまり怒って欲しくないんだけど。


「ど、童虎。
 何でそんなに驚いてるんだよ。
 知り合いなのか?」


「レグルス、こ奴はな…。」
「童虎、何を騒いでいるのだ。」

「おお。アルデバラン。」


童虎の話の腰を折ったのは、
目に眩しい、金色鎧を着たの人。
とても背が高く、鍛えられた肉体の男性はここにきて初めて見る顔だった。



「な、なんで黄金聖闘士が三人も!?」
「え?三人?あとの一人誰?」

「俺だよ!」

「あ、そうだった」


そう言えば、初めて会ったときにきてたね。その無駄に眩しい鎧。



「サナエが男装した上に、こんなボロボロになるまで修行してたんじゃ!!」



私のことをまるで猫でも掴むかのように、首根っこ掴んで浮かせた童虎。
首が閉まって苦しいし、痛い。


「だ、男装に関してはちゃんとセージさんから許可えてるし、大丈夫だよ!」


無理やりだけど!


「だからとはいえ、こんなところで修行することは許すわけがないじゃろうが!」
「そ、それは…。」



何も言い返せず言葉に詰まった。
しかも男装に関しても、結構強引だったからな…。



「童虎。
 サナエはいったい何者なんだ?」



話しについてけてないのか、めっちゃぽかんとしてるレグルスが童虎に聞いてる。
べつに、何者って言うようなやつじゃないんだけど。



「レグルス、そのかたは“大地と豊穣の女神”を身に宿す、サナエ様だ。
 今はアテナに力を貸してくださっている御仁だ」


なんか全く面識のない人が三人に教えてくれた。
それを聞いた三人は三者三様の様子で驚いた。


「…女神?」
「そいつが…!?」
「う、嘘だろぉォオオ!?」


そんなに意外だったか、少年たちよ。
私も自覚ないとはいえ、そのリアクションは悲しい。



「こんなアテナ様みたいに綺麗でもおしとやかでもない女が!?」
「ていうかサナエは女だったのか!?」
「ぜんっぜんそうは見えねえ!」
「男装してたとはいえ、マジで気が付いてなかったのかお二人さん!!
 あと、耶人!悪かったな!あたしがサーシャみたいにおしとやかで綺麗じゃなくて!!!」


「正直にいいすぎじゃ!
いくらサナエが美人とはかけ離れた少年の様な女でも、そう言うのは心の中でいうもんじゃ!!!」



「あんたもだよ!!!!このアホ童虎!!!!
 むしろ、童虎が一番いってることがひどい!!!」


頑張って童虎の鳩尾に蹴りを一発入れた。
だが全く聞いたそぶりを見せない童虎だったが、するりと首根っこを押さえていた手を離してくれた。
蹴りを入れた私の足の方が痛い。



「…サナエ様。
 自己紹介がまだだったな。」



…この状況をスル―して自己紹介とは、見た目同様図太いみたいだ。


「俺は牡牛座のアルデバラン!
 訓練生の指南をしておる。」
「あ、初めまして。
 サナエです。」
「それにしても…女神ともあろうお方が、なぜこのような所で修行を?
 教皇はまだ体術の練習はしないとのことだったが…。」
「・・・・。
 あ、はははは。」



笑ってごまかすしかないね、コレ。




「俺が、悪いんだ」










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