◎運が悪い再会
「・・・それは」
「おい、耶人。
それはいいすぎだろ?」
「サナエには、特別な訳があるんだろ?」
「だから、その特別な訳って何だよ!!」
いつの間にか、雰囲気が怪しくなってきてる。
私のせい、だよね…。
「耶人くん。
おれが特別扱いされてる理由、そんなに聞きたい?」
「あ?」
このままじゃ、駄目だよね。
あーぁ、もともと今日の脱走で説教は確実だったさらに延長かなぁ。
「俺が、特別扱いされてる理由。
それはな…
俺…いや、私が「テンマ!レグルス!耶人!」・・・。」
私の言葉にかぶせるように、誰かの声が重なる。
邪魔された私は反応できずに固まっていると、声の方向・・・私の背後を見た三人がパッとリアクションを取った。
「童虎!」
「あ、ホントだ。
珍しいな、こんなところにくるなんて・・・・。」
…え、童虎?
・・・・えええええええ!?
「久しいのう!
おぬしたち、前見たときよりは成長してるようじゃな!」
聞き覚えのありすぎる声に、戦慄が走る。
こ、この声は間違いなく童虎だ!
何でこのタイミングでくるんだよ!!!
「童虎のこと最近聖域で見なかったけど、どこ行ってたんだ?」
…そういや、最近見てなかったなぁ。
すっかり忘れてたけど。
「ちょっと野暮用でのう。
・・・・そっちのは?」
「え?コイツか?」
童虎がずっと振り向かないで固まる私を気にかける気配がする。
それでも振り向けないで固まる私に、隣に座っていたレグルスが反応した。
「ああ、こいつはサナエ。
最近来たんだってよ。」
何も知らないレグルスが、童虎に私のことを紹介してくれる。
「サナエ…?」
童虎の声が「え?」って言う声になった。
観念した私が、諦めた顔で振り向いた。
目を見開いた童虎と、目が合う。
「や、やほー・・・。
久しぶりだね、童虎。」
「………………………………………………………………………………………え?」
誰が発したか分からない。
随分とした間抜けな声が聞こえた。
「サナエ−−−−−−−−−−ッッ!!??」
童虎の叫びが闘技場に響く。
私は渇いた笑いをするしかなかった。
「あ、はははははは…。」
あーあ、顔見知りの黄金聖闘士だけには見つかる気なかったんだけど…。
今日はどうやら厄日だったらしい。
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