耶人くんとの衝突




「アレ?サナエじゃねえか!」
「テンマ!
 と、そちらは?」



足を揉みながらレグルスを待っていると、声をかけてきたのは以前男装した時に友達になったテンマと、誰か分からない男の子。
なんか、めっちゃくちゃ不機嫌そうな顔してるんだけど。



「俺は耶人。
 聖闘士に最も近い男だ!」


自己紹介する男の子に素直に感心する。
聖闘士に近いんだあ!


「じゃあ強いんだな。
 羨ましいなー!


聖闘士に最も近いっていうんだから強いんだろうねえ。



「サナエはさっきレグルスと組手をやってたよな。知り合いなのか?」
「今日知り合ったばっかなんだけど、
 俺があまりにも弱いから強くしてもらってんだ。」
「お前が修行したところ、初めて見るしな!
 ん?でもおまえは聖闘士になれないんじゃないのか?」
「あ、ははは。
 そうだけど、自分の身位自分で守らねえとまずいだろ?」
「っけ!そんな護身用程度の気持ちで修行してるたぁ、良い身分だな!」

「…。」



耶人君だっけ…?
初対面のはずなのだが、随分と私に噛みついて来る。
接点がないはずなので嫌われることもないと思って居たのだが。


「そういうなって。
 サナエにも事情があるんだろ?」
「ま、まあな。」


「じゃあ聞くけど、その事情って何だよ。」


「、は?」


鋭い切り返しに言葉が詰まる。
言ってしまってもいいが、それをいうと絶対セージさんにばれる。
勝手に外出だけならまだしもここでのことをばれるのはできれば避けたい。



「そ、そ、そ、それは…。」



い、いえない!
流石にすべての事情を話すわけにはいかない!




「サナエ!これ昼飯だ…
 って、なにやってんだよ。」


「レ、レグルス!!」




言葉に困っていると、レグルスが昼食を持って戻ってきてくれた。
レグルスの登場で変わった空気に便乗して私は話をそらした。



「きゅ、休憩の時間なくなるし、飯食おうぜ!」
「そうだな!俺らもこっちで食おうぜ耶人!」
「・・・・ああ」


耶人くんの、視線が痛い。
何で私の事こんなに嫌ってるんだろうか?
…分からないなあ。




「サナエはさ、いつもどこにいるんだ?
 この間見たきりお前の事見たこと無いんだけど。」
「俺?俺はいつでも君らの心の中にいるさっ!」
「だっせ」
「ひどくない!?」
「まあ、聖域って広いし、見なくても不思議はないけどな」



あたしと耶人くん、それにテンマとレグルスの四人組で食事をとる。
にしても…。



「三人とも、食うの速くない?」
「普通だろ?これくらい。」


空になった三人の手元と、また半分以上の子っている私の手元を見てつぶやいた。
男の子って食べるの早いよね。



「お前が遅いんだよ。」
「耶人。おまえサナエに強くあたりすぎだろ?」


流石に見かねたレグルスが、耶人君を諫めてくれる。
さっきからこの子の発言が私の心えぐってんですよ。



「じゃあいうけど、どうしてこいつだけ特別扱いなんだよ。」
「…特別扱いって?」



男装の姿で、特別扱いされたことなんてあったかな?



「闘技場で修行したところを見たこと無かったし、
 アスミタ様となれなれしく話してたり、今日も教皇の宮から出てきたり…。」


…見てたんだ。
でも、見られてても不思議はないかも。
同じ聖域に住んでるんだし。




「何でお前だけ特別扱いなんだよ。」
「・・・・。」





恐らく耶人くんは私に嫉妬をしているのだろう。
だから少しあたりがきつかった。
私だけ大事にされてて、不満を持たない訳ないよね。



「お前は一体何なんだよ!」





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