獅子座の少年?





聖域に戻ってきて、とんでもなく長い階段を上るすこし手前。
私はめちゃくちゃにやけていた。



「えへへ、友達かぁ―!」



こっちに来て初めてできた普通の一般人の友達。
いやー、普通っていうのがここまで嬉しいと思ったことなんてないな。


「ふふーーん!」


上機嫌で十二宮に続く階段へ行こうとしたときだった。


「なあ、あんた誰?」
「は?」



不意に、背後から誰かに話しかけられた。
不意すぎて、心臓ははねた。



「だ、誰って、お、俺のこと言ってる?」



驚きすぎて、体が硬直して後ろを向けない。
それが、逆に怖い!


「お前以外に誰がいるんだよ。」


「お、俺か、俺はサナエ。
 てか、おまえが誰だよ!」


くるっと華麗に後ろを向いて、またも硬直した。



後ろにいたのは、金色の全身鎧を着た少年。
この鎧は、まさか…。



「黄金、聖闘士…。」


突然のタイミング過ぎて、私は言葉を失う。
少年はそんな私に気が付かず、首を傾げていた。


「俺は獅子座のレグルス。
 サナエは、ここで何してんだ?」
「俺は、いまから、えっと…。」



自室に戻るのだが、“送ってく”とでもいわれたら、大変よろしくない。
自室はサーシャがいるところだし…。
黄金聖闘士に男装してるとばれるのは、勘弁だ。
あとでセージさんに告げ口されかねない。
今だにセージさん男装反対しているのだから。



「と、と、闘技場に行くんだ!!」



思わず出た出まかせ。
・・・大丈夫かな?



「訓練生なのか?
 こっち闘技場とは全然違う方向だけど」


「ぁ、う…うん。
 実は道に迷っちゃって…?」


必死にひねりだした嘘。
信じてくれるか不安で自然と冷や汗が湧いた。


「なんだよ。こんなところにいるから何してんのかと思ったよ。
 迷子なんだな!」
「そ、そうなんです!
 来たばかりでまだ慣れていなくて…」


信じてくれたらしい少年に私はほっとしながら話を合わせる。
不審者扱いでもされて攻撃でもされたら、私はすぐに死ぬ自信がある。


「だよなー。
 あ、俺も闘技場に行くんだ。
 一緒に行こうぜ。」


・・・よかった、もしさっき自室に行くとか行ったらマジで送られたかもしれなかったわ。
本当は断りたくて仕方がなかったのだが、闘技場へ行くといって居る手前断るのは不自然すぎる。
私は必死に声を作りながら同意した。


「お、おうよ。」
「行くぜ!サナエ!」
「おう!」



・・・・一緒に組み手やろうとか言われないよね。








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