女子力マックス!




「さっきは自己紹介もせず話してすみません。
私の名前は、アガシャといいます。」
「あ、俺の名前はサナエ。
 よろしくな。」



今いるのは、綺麗な花がある草原。
撫でる風が、柔らかい。
やっぱ聖域直轄のところだから綺麗だよねー。


「サナエさんは、聖闘士様なのですか?」
「いいや、ちがうよ。
 俺は聖闘士でもなければ訓練生でもない。
 俺はただの居候。」




女神というのだけは、伏せておけば問題ないハズ!





「これは、たしかにアルバフィカ様にもらったんです。」
「アルバフィカもすみにおけないなー。
 こんな綺麗な子に薔薇の花なんて渡すなんて。
 真っ赤な薔薇だし“情熱の愛”ってところかな?」


ニヤニヤとアガシャちゃんを見ると、アガシャはぶんぶんと首を振る。


「ち、ちがいますよ!」



真っ赤にして否定するアガシャちゃん。
…なんか、いじめてるみたいになってしまった。




「それに、アルバフィカ様には好きな女性がいらっしゃるんです。」


・・・え?
アルバフィカに、好きな人!?



「え、嘘!?
 むしろ男に告白されてそうなアルバフィカに!?」
「ええ…。
 最近、アルバフィカ様の顔が以前より晴れやかになっていて…。
 それに、先日お店で女性向けの花や小物を買っていかれたのです」
「それ、ただたんにアルバフィカの趣味じゃないの?」



どんな風なものを買ったのか知らないけど、
多分女性ものだったらアルバフィカに全部にあうだろうなぁー。



「違います!」



アガシャちゃんに凄い勢いで否定された。
先ほどからとても必死で、善良なアガシャちゃんの様子に私は思い当たったしまった。
もしかして、この子…。




「ねえ、アガシャちゃんはアルバフィカのこと好きなの?」



「っえ!?
 ええ!?そ、そんなことはないですよ!」



茹でたタコのようにアガシャちゃんの顔が一気に真っ赤になった。
これは確実だな。




「やっぱりかー。
 アルバフィカのことでめっちゃくちゃ必死だもんね。」



いやー、青春してるね。
私は恋とかしたこと無いな。



「ち、違いますよ!
 それに、恋してたとしても、叶う事はないんです。」

「…」



あ。なんか一気に暗くなった。
恋する乙女はいつも一喜一憂って本当だなァ・・・。



「諦めたら、叶う事もかなわないよ」
「え…?」
「叶うか叶わないかは、正直相手とアガシャちゃん次第だとは思うけど…何もしないで諦めたらそこでもう何もかも終わりじゃない?」



凄い監督も諦めたらそこで試合は終了っていってたし。



「叶う叶わないは置いておいて、
 アタックし続けないと何も始まらないよ。
 身分とか年の差とか体裁とかそんなの気にしないで、全部ひっくり返しちゃう心も血じゃないと何も変わらないよ」


って、友人の美奈子がガールズトーク内で不定期開催される「美奈子の相談室」でいってた。
案外確信をつく相談室は友人内でとても人気だった。私は一回も相談したことないけれど。




「サナエさん…。」
「でしょ?」



アガシャちゃんの眼がうるんでる。
恐らく、本当に悩んでたんだなァ。
誰にも相談できなくて、辛かったんだと思う。



「このことを、誰かほかの女の子に相談で来てよかったです…。」



「そっか、よかったね。
 って、え?女の子?」
「え、ちがうんですか?」



・・・・もしかして、ばれてた?





「い、い、いつわかったの!?」
「最初は男の人かと思ったんですけど、話してるうちにわかったんです。」
「そ、そっかぁ…。」




あー、確かにガールズトークしてるうちに女っぽいしゃべり方してたかも。
…今度から気を付けないとな。



「サナエさん。
 これからも、相談してもいいですか?」



でもま、いいか。




「もちろんだよ!
 いつでも相談してよ!
 あ。でも次はいつこっち来れるかわかんないけど。」




セージさんから許可なんてそう簡単に下りないしなぁ…。
前に無断で出ちゃいけないって言われたし…。
だけどまあ、今日みたいにすれば平気かもな。




「よろしくお願いします!」
「こっちこそよろしく!」




こうして私はこっちに来て初めての普通の女友だちを作った。










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