眼を開けたら、そこには大層な間抜け面がありました


―ミタ・・・さん



誰だ…?



―ア・・・ミタ・・・



誰が、私を呼ぶのだ・・・?  




「アスミタさん!大丈夫ですか!?」
「ッう…」
「よ・・・よかったぁああ!!!」



安堵したサナエの声。
だが、何があったのか分からない。



「なにが、あったのだ…。」
「それはこっちの台詞ですよ!アスミタさん、いきなり倒れたんですよ!?」



心臓に悪い、と嘆くサナエ。
確かに、小宇宙が揺れてるな。
そう言おうとした時、目に違和感を感じた。



「ッな・・・」



瞼を開ければ、
パアッと明るい世界が見えた。



「何故…」



目の前に広がる世界に驚く。
青い空、生い茂る緑。
それら総てが視界に映る。
閉じたはずの視界は、何かを映すことなどありえないのに…。



「っえ?」
「何故、目が見えるのだ・・・。」
「、は?」



そこに見えたのは、間抜け面を顔に貼りけたサナエと思わしき少女。
…あぁ、こんな顔をしていたのか。


「へ?
 アスミタさん、見えてるんですか!?」


ぎょっとしたように少女は私の顔を手で包んで、私の目を見る。
澄んだ茶色の眼で射抜かれる。
濁りのないその色に一瞬ひるんだが、それでも見つめた。


「な、何で…?
 もしかして、倒れた拍子に頭打って視神経がつながったとか?」



全く頓珍漢なことを言っているサナエの仮説に首を振った。



「…いや」



そんなわけがない。
だが、原因は目の前にいるサナエだ。



「あなたがこれをやったのだろう。」








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