話しの続き



アスミタさんは何に対しての謝罪だったのか一瞬わからなかったようだが、
すぐに思いだして「あぁ」と声を上げた。


「…まだ気にしていたのか。」
「ええ、本当にすみませんでした。」



頭を下げたまま、アスミタの言葉を待つ。
そうしなければ、いけない気がした。



「私は、謝罪よりも君からあの話の続きを聞きたい」
「…え?」



話しの続き?
なにの?
今度は逆に私のほうが思い出せず、困惑する。


「どうゆう…?」
「君が、私との別れ際“悲しすぎる”といったことだ。
 それが私の聞きたいことだ。」

「…ああ。」



考えるよりも先に出てきた言葉。
…無神経すぎる自分が嫌になる。



「すみません、気にしないでください。
 深い意味がある訳じゃ…。」

「私は仏教徒だ。」



…ん?
い、いきなり何の話だ?
話しの流れについていけず戸惑うが、何か意図があるのだろうと思いながら同意する。


「はあ…。一応、私の家もそうですよ。
 そんな信心深くなんてないけど。」
「ならば、わかるだろう?
 欲にまみれた、この世の中が。」

「…。」



「生きることが苦しみでしかない」


アスミタさんの横顔。
悟ったかのように穏やかでありながら、人を寄せ付けない美しい横顔を見て、
私は心の中でもやもやした。
そのモヤモヤを、私は口に出した。



「それは違います。」




間髪いれずに、アスミタさんの発言を否定した。




「何故、そうといいきれるのだ?」









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