◎謝罪
テンマと別れて、軽い足取りで自室に戻る途中の十二宮。
処女宮を通り過ぎようとしたとき、誰かに呼び止められた。
「随分と楽しそうなのだな。」
「あ、アレ?
アスミタさん?」
声をかけてきたのは、前に一度話したことのあるアスミタさんだった。
「何で楽しそうってわかったのですか?」
「小宇宙を感じればわかる。まるで小鳥のように軽やかだ。」
「はえー、そんなこともわかっちゃうんですね?」
小宇宙一つで何でも見破られる自分って…。
そう考えると悲しくなるので考えるのを止め、アスミタさんに言いたいことがあるのを思い出した。
「あの、少しいいですか?」
「…奇遇だな。
私もあなたに聞きたいことがある。」
予想外の言葉に、逆に驚いてしまう。
アスミタさんが私に何の用だろうか。
「あ、そ、そうですか。
じゃあ、ここじゃ何なんで適当な場所に座って話しましょう!」
「そうだな。
ついて来るがいい」
「はい!」
―――――――
アスミタさんの後についてくと、朽ちた遺跡跡に出た。
あまり人も立ち入らないのか、草が生い茂っていたが吹く風がとても心地よい。
横たわった石柱に二人で腰を下ろす。
「それで、話しとは?」
「…まずは、謝らないといけないと思って」
「謝る?何を?」
そう聞かれると、言いにくいけどどうせ言わねばならないのだし、
重い口をゆっくりと開いた。
「無神経なこと、いってしまったことに関してです」
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