天馬のもやつき




「なぁテンマ。
さっきの女の子って何者だよ。」
「はあ?女の子?
 って、誰のことだよ。」




サナエと別れたあと、耶人が近づいてきたと思ったらそう聞いてきた。




「とぼけんなよ。お前と話してたあの子だよ。」
「サナエの事か?アイツ、男だぜ?」
「はあ?」


そういうと、なぜか呆れたような顔をした耶人。
それが全く理解できない。



「お前、目腐ってんじゃねえか?
 アレはどっからどう見ても女の子だろうが。」
「えー、そうか?
 男っぽかったし、しゃべり方だって…。」
「んなもん、ちょっと気をつければどうにかなるだろうが。
 そんな事も気がつかねえのかよ。」



・・・言われてみれば、サナエの顔は女の子らしかった気がする。
男にしては線が細いし、顔つきも愛らしかったが…



「でもよ、女っぽい男なんていっぱいいるじゃねえかよ。」
「そりゃ、そうだけど…。
 まぁ、とにかくそういうんじゃなくてあいつは女の子だぜ。
 それにしても、何であんな格好で、修行も参加せずに…。」
「さあ…?」



今考えると、不思議な奴だった。
感じる小宇宙は温かくて、力強い。
あいつをみてると、胸があったかくなって…少ししか話さなかったけど、もっと話したいとか思ったし…。

そこまで考えて、自分の気持ちに驚いた。
何故、会ったばかりのサナエの事をここまで考えるのだろう?



「わっかんねえ…。」



もやもやする気持ちの意味がわからず、
その後の修行に身が入らず、いつもより余計な怪我が増えた。



あー、もやもやする!









-30-








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