◎思い出す、温かさ
「と、もだち?
そんな、おそれ多い…。」
「そんな事気にしなくってオッケーですって!
私の中に女神とかいう奴がいるっぽいけど、正体は普通の小娘だから!」
「・・・・」
「だから、良いですよね?」
毒を恐れず、こうも近づいてきてくれた人間などいただろうか?
「一人じゃ、悲しいですよ!」
誰も近づけず、一人で生きていこうとした。
それは、間違いだったのかもしれない。
「サナエ様…」
「あ、サナエでいいですよ。
私の方が年下だし。」
「そうか…。
ならば、私の事も呼び捨てにして欲しい」
「・・・え?
でも、悪いですし…?」
「友だちならば、敬語やさんづけなどいらないはずだが?」
「アルバフィカさん…。」
心を開いてもらえた。
ただ、それが嬉しかった。
「うん!そうだね!アルバフィカ!!」
人と接することが、こんなにも楽しいという事を忘れていた。
「ありがとう、サナエ」
「え、なにが?」
「いいや、なんでもない。」
それをすべて、貴女が私に思い出させてくれたのだろう?
サナエ。
-27-
back
しおりを挟む
×