女神の力の一角

次の日。
セージさんと修行して、
また汗だくになったと目の保養のために薔薇園へと向かった。


「あー、やっぱ綺麗だな。」


毒があるとは言われたものの、
どうやら私には効かないようなので怖がることもない。
あ、でももう触らない。痛いから。




「綺麗な薔薇には毒がある、かぁ。」




うん、我ながらうまいんじゃないか?
なんて自画自賛していると、ふいに声が聞こえた。



「確かに、この薔薇園の薔薇はそうかもしれんな。」
「うぎゃあ!?」



背後から声がしたと思ったら、アルバフィカさんが立っていた。
突然声をかけられた驚きで、私はしりもちを突いてしまった。
そんな私を、呆れたように見降ろすアルバフィカさん。


「なっ、何で背後に!?」
「隙がありすぎだ。
 死んでもおかしくないぞ。」
「…」



とてもすごくて強いであろう黄金聖闘士と、一般市民を同じにしてほしくない。



「貴女のこと、セージ様から伺った」
「へえ…。
 私のこと、セージさんはなんて言ってました?」
「“見た目は普通の娘”だが、“中身は女神”と。」
「なんか、見た目は子供、頭脳は大人みたいなコメントだね。」


ぁ、なんか懐かしいわこのネタ。



「言ってることの意味が分からないが、
 とりあえず、大地の女神だと訊いて、納得した。」
「納得?
 何に対して?」



アルバフィカさんの髪を、薔薇の香りが混ざった風が撫でる。
薔薇園を見つめるアルバフィカさんの瞳は、ここではないどこか遠くを見つめていた。



「貴女に、薔薇の毒が効かなかったことに関してだ。」
「…それは、私が女神だったからきかなかったんだね。」



納得した。
何人も死んだというこの薔薇に、自分がきかなかった理由。


運がよかったとか薔薇の毒が無くなったではなく、私に効かなかっただけなんだ…。



女神様の力というのはどうやら、とんでもないようだ。




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