戦女神・アテナとお茶会





「アテナ様。サナエ様をお連れしました」
「しつれいします。」



アテナさんが待つという部屋に入ると、紅茶の匂いがした。
品の良い部屋の真ん中に並べられた机の上に紅茶と茶菓子が置かれ、
アテナさんは椅子に腰かけて私を待っていた。


「すみません、いきなりお呼びして。」
「あはは、だいじょうぶです!」
「どうぞ。座ってください」


アテナさんに向かい側を勧められて、ゆっくりと座る。



「改めて、自己紹介したいのです。
 私は今の世のアテナなのですが、本来の名前はサーシャというんです。」
「サーシャさんですか…」
「ええ。
 本来なら、自分の本当の名前は言わない方がいいのですけど、
 あなたにしってもらいたくて。」


そういって笑うアテナさん…もといサーシャさんに私は年相応に見えた。
今まで大人びて見えていたが、実際には私とあまり変わらないのかもしれない。



「私なんかに?」


とてもうれしいことだが、自分にそこまでの価値があるとは思えない。
言外にそう伝えるとサーシャさんは首を振った。



「いいえ、謙遜することはありません。
 あなたは、とても素晴らしい方です。
 此処に着て二日しかたっていないのに、ここの空気はとても澄んでいます。
 大地の花も木と草も、とても生き生きとしていますし」


思わぬ褒め方に私は顔の前で手を高速で振った。



「いやいやいや、それはアテナさん・・じゃなくてサーシャさんがいるからでしょ?
 サーシャさんがここを守ってる訳だし、私はなにもしてないですよ!」


私はダメ人間だし?
なんて言う軽口はサーシャが首を振って聞き流した。



「いいえ。
 そんなことはありません。
 私は、確かにここを守っています。
 しかし、大地をここまで命溢れるものにするのは無理です。
 それが出来るのは、大地の女神であるあなたとデメテルの力なのです。」
「…例え、大地を命溢れることが出来てもそれは私の力ではないです。
 この中にいるという、女神の力です。」



自分の胸に手をあてる。
サーシャはじっとサナエを見ていった。



「あなたは、この世界の人間じゃないのですよね?」
「……はい?」




いま、なんと?








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