処女宮の



階段を下りている途中に、童虎さんから聖闘士についての説明を受ける。
どうやらアテナに使える戦士たちのことをさす言葉らしい。
特に12星座の鎧を持つ聖闘士は黄金聖闘士と呼ばれ、聖闘士の中でも最上位に剤しているらしい。
その話を聞いたとき私は素直に感心し、黄金の鎧を着込んだ童虎さんを改めて見つめた。


「へぇ。
黄金聖闘士ってやつはすごいんだ。」
「まあのう。」
「じゃあ、童虎さんはめちゃくちゃ強いんだねぇ。」
「あたり前じゃ!」


聖域の中を、童虎さんに案内してもらってる。
童虎さんといると、何故だかほっとする。


「アテナの神殿へ唯一続く道には我ら黄金聖闘士が守る十二宮がある。
 お主と降りてきた順に双魚宮、宝瓶宮、磨羯宮、人馬宮、天蠍宮、天秤宮・・・」


無人の大きな神殿ととんでもんなく長い階段をおりまくって汗はダラダラ流れるし、
足は少しだけ痛いが我慢する。
見ていて飽きない景色と童虎さんとの雑談で気を紛らわせながらのぼっていく。




「そして、ここが処女宮じゃ。」
「へぇーーー!」



目の前にそびえる大きな白亜の神殿。
通るたびに思うが、この宮は一つ一つが立派過ぎる。



(創設費とか、いくらなんだろう?)



「あれ、だれかでてきたよ。」



処女宮の中から、人がでてきた。
今まで通ってきた宮には誰もいなかったため、てっきり誰もいないのかと思っていた。



「童虎、そちらは?」



童虎さんに話しかけるその人。
長い金髪に、とても整った顔をした男性。
童虎さんもイケメンだが、それに匹敵するくらいのイケメンだった。


「おぉ、アスミタ。
 こ奴はサナエ」
「こんにちわ」



処女宮から出てきたアスミタさん。
キラキラと神々しい感じがする、


「こやつは、デメテルの魂を身に宿している。
 要するに女神ってわけなんじゃ。」
「・・・・本当に女神なのかは、私にもわかりませんけどね」
「それはない。
 あなたから感じる小宇宙は、女神以外の何者でもない。」



優しい顔立ちのアスミタさん。
だが、どこか違和感を感じた。
じっと見つめていると、ようやくその違和感が分かった。



「アスミタさん?
 あなた、もしかして…。」
「ああ、きがついたのか。
 私は盲目だ。」
「・・・・。」


思わず、言葉がつまった。


「まだ、聖域の案内がすんでいないのだろう?
 ここで私と話すより、聖域の案内をした方がいい。」
「ご・・・ごめんなさい。」


人の気にしてる、それも重要なことを気安く
触れてしまった罪悪感で、思わず泣きそうになる。


「気にしないでいい。
 確かに、私は目が見えないが第八感でわかる。
 むしろ目が見えなくていいのだ。」



アスミタさんの本心がひしひしと伝わる。
こんな欲にまみれた世界なんてみたくない。
そう言ってる声がつらい。



だけど…




「……そんなの、かなしすぎるよ。」









                 

-13-








back
しおりを挟む


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -