引っかかる馬鹿は愚か者





・・・あつい。


密林の中を歩きながらあたしはつぶやいた。
もちろん、迷惑かからないように他のみんなには聞こえないように。

はあ…。
こういう蒸し暑い感じって苦手かもなぁ…。


「ハァ、ハァ、ハァ…」



自分のことよりも息が上がってしまっているアリアちゃんのほうが心配なんだけどね。



「大丈夫か?」
「無理しちゃだめよ。
長旅に加えて、コアを二つ破壊するために力を使ったんだから…」
「おぶろうか?」
「だいじょう、ぶ…」


弱弱しく笑うアリアちゃん。
きついのに、我慢してんだなぁ…。


「おーい!」

「ん?」
「なんだ?」


蒼摩が坂の上で、こっちに手を振ってくる。
何か見つけたのかな?

歩いて坂の上に行くと、そこからは、海が見え
た。


「わあ、海だ!」


太陽の光を浴びて、きらきら光る海をみて、光牙と会った、島のことを思い出した。


「前にいた島を思い出すぜ!」
「奇遇だね、あたしも今思ったよ」


体治すのに頭いっぱいで、あんまりゆっくり眺める暇なかったけど…。
海がきれいな島だったなぁ…。

なんて、海に思いをはせてると背後から不穏な気配を感じた。



「光牙!後ろ!」
「えっ!?
 うわぁ!?」


突然地面の中から手が出てきた。
その手は光牙の足をつかもうとしたが、寸でのところで光牙は避けた。


「あはは…。これって、まさかの?」



地面から這い出る黒い鎧の集団を見ながら、ユナが叫んだ。


「火星士!?」


ですよねぇ!?
うわ、なんでこいつら地面から這い出てきたの
!?
ゾンビかてめぇらは!



「目標確認!」


隊長格らしき火星士があたしたちを見ながら叫ぶ。
目標って、あたしらだよね・・・。
はあ…これって戦う系?


「これ以上白銀聖闘士に任せておけなくてな。
 俺の火星士追跡部隊・アント隊がお前たちを倒す!」


…雑魚フラグだな。
こんなのだったら瞬殺できるね!


「どーする?
 このありんこ火星士どもを倒して強行突破と行くか?」
「あたしは構わないよ。
そっちのほうが後腐れなさそうだし」


追いかけられた方が後々厄介なことになりそうだ。
やる気満々なあたしと蒼摩をユナが止めた。


「待って!アリアのことを考えないと…!」
「うーん…そうだね」


ここで戦ったら、アリアちゃんにまた負担をかけることになる。
と、なるとやめておいたほうがいいか…。



「そういうことなら!」


あたしと蒼摩と光牙が臨戦体制を作った。
一気に身構えるありんこども。


「くるぞ!攻撃に備えろ!」



火星士が一気に緊張したのを逆手に、あたしたちは回れ右して駆け出した。



「にっげろーー!」
「やーーーい!ばーーーか!」
「馬鹿!挑発すんな!」



笑いながら逃げるあたしに、突っ込む蒼摩。
だって、だまされるなんてマジざまあじゃん。

・・・ていうか、あほすぎる。


「逃がすなーーー!おえーーーー!」




背後から、奴らの追う音が聞こえてくる。
まずいな、このままじゃ追いつかれるな。
なんて悠長に考えてると


「こっちだ!」
「!」



道の端から突然栄斗が現れた。
そのままあたしたちを道の端にある岩壁の付近に押し込め、術で壁を作り、隠してくれた。

作られた壁に気が付かず、その横を通り過ぎる火星士たち。
さすが忍者、何でもありなの…?

「うまくまいたみたいだな。」
「だね」
「さあ、このまま港まで急ぎましょう!」









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