雪と馬鹿と




「ぅう〜…。さぶい!」


砂漠地帯から、今度は雪深い地域まで来た。
うう、寒い…。



「ぅおぉ〜!雪だ!雪!スッゲエ!」

はしゃぐ光牙が先頭で雪と戯れるが、もちろんあとを追うあたしたちにそんな気力はない。
身を縮こませてゆっくりと雪の上を歩く。

「何がそんなにうれしいんだよッ!
 冗談じゃねえぞ!」
「さむぃサムィイィイぃ!!」


雪とか、無理!
冷え症だから寒いの嫌いィィい!


「……綺麗」
「・・・・アリアちゃん。」


空を見あげて顔をあかめるアリアちゃん。
もしかして、雪を見るのが初めてなのか?
見るものすべてが、新鮮で、新しくて、
それでいて美しいものなんだろうな…。


「それにしても、おかしいわね」
「え?」


なにが?


「いつもならこの時期はもっと雪が少ないはずなのに…」

「え?」
「ん?」
「ユナ…?」


ユナ、何でそんなこと知ってるの?


「やっぱりおかしいわよ、これまであちこち色んなところ見てきたでしょ。」
「花が、森が枯れていた…。」
「どこもかしくも枯れ果ててたし…。」
「うん…。森も、町も、湖も枯れ果てていたわ。」
「もしかして、マルスが建てたバベルの塔のせいか?」

「そうか、地球の小宇宙が無理矢理吸い取られてるせいで…。
 それで地球がおかしくなってんだな。」

「その可能性が高い・・・・てか、それ以外に考えられないね。」


地球の小宇宙が吸い上げられてるなら、
地球がおかしくなってもおかしくない…。


「でも、いったいどうすれば?」
「コアを一つ破壊できたけど…。」
「コアは、あと四つ…。」
「四つ、かぁ…。」


道のりはまだまだ長いね…。



「よし!まかせておけ!
 残り全部ぶっ壊してやる!
 マルスの好きにさせてたまるか!」

お気楽な光牙のいつも通りの前向きな発言だったが、
今回に関しては同意だったため素直に頷く。

「おう!」
「うん!」


あたし達三人は、顔を見合わせて意気込んだ。


「よし!いくぞ!」
「、は!?どこに!?」


テンションが上がったのか光牙に引きづられるように蒼摩は雪の中元気に走って行った。
…アホだ。


「こんな雪の中ではしゃいだら体力もたないんじゃない?
 あほだな」
「今更、ね。」


呆れ顔で、それでも笑いながらあたしとユナが
元気いっぱいな二人を見つめた。


「いきましょう。 
 ユナ、ホタル。」
「うん」
「ええ」



あたしとアリアちゃんが並んであるいた。
その後ろを歩いていたユナが一瞬止まったのが、少しだけ気になった。










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