じゃんけん…



見渡す限りの荒野。
てりつける日差しが、熱い。
随分と気候が変わってきたなァ…。


「なあー!
 もう一時間たったろぉー!?
 交代、交代!」

・・・・こんなくそ暑いなか、随分とまあ元気なことで。
羨ましいよ、それ。


「勝負したって無駄だろ。
 お前が次何出すかはお見通しだ。」
「んだとぉ!?」
「単純明快シンプルかつすこぶる単細胞だしなぁ、お前は。」
「そこに正直とも付け加えておいてよ。
 馬鹿が頭につく方の。」
「なんだと!?
 次は絶対に負けないからな!」

…こういうときってそういう奴ほど、負けるんだよね。
てか、だから単純だっていってんのに…。

「ユナ!ホタル!」
「はいはい・・・。」
「たく、時間の無駄なのにねぇ…。」

まあ、お子様な光牙のために付き合ってあげるか…。


「じゃんけん…ぽん!」


物見事に、光牙以外パー。
…お約束すぎるね、うん。


「また負けたァーーー!?」
「さ、いこうか。」
「やっぱやる意味無かったじゃん。」

もう負けるの、目に見えてたし。
全く・・・アホだ。

「あの…」

おどおどと声をかけるアリアちゃん。
おそらく光牙のことを心配してのことだろうけれど…。


「ああ、気にしなくていいって。
 勝負に負けたあいつが悪い。
 あいつは、頭に血が上って、拳を握りグーを出す。」
「いつになったら気がつくのかしら?」
「もう気がつかないんじゃない?」

でも、それって聖闘士として結構致命的だと思うんだよね。
頭に血が上って冷静に判断できないって…。


「なあ、風の小宇宙を吸い取ってるっていう風の遺跡まであとどれくらいあるんだ?」
「遺跡の小宇宙に近づいてるのは、確か…。」

立ち止まったアリアちゃんに、自然とあたしたちの足もとまる。

「…アリア?」
「どうしたの、アリアちゃん?」

体の調子でも悪いの?

「他の、みなさんは?」

「龍峰と栄斗なら大丈夫。
あいつらは、パライストラで一、二を争う強さだ。」
「簡単にやられたりしないって。」
「そうそう。
 なんたって、一緒にいたこの二人が帰ってきてるんだよ?
 なのに、強い二人がやられる訳ないじゃん!」

ケタケタと笑って二人の肩を叩くと、二人から何とも言えないような複雑な顔をされた。

「お前…」
「・・・・サラリとひでえこと言うな」

「あっははー!
 さあさあ!早く進もう!」

「そうだな!
 早く行こうぜ!」
「…元気な奴らだな。」


意気揚々と歩きだしたあたしたち。
だけど、それからしばらくして物見事にその元気も粉砕した。










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